1.何色でもない世界 ページ1
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それなりにまともな人生を歩んできた方だった。
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ただあの日から全部壊れてしまって
まともな中途企業を辞めて
仲つむまじい親との縁まで切って
選んだのは裏社会だった。
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人を殺めたいとか、憎い人がいるとか、お金が大好きとかそーゆーわけではなかった。ただ、ただあの世界はもう、見てられなかった。
あんなにも綺麗だと思っていた世界が
たった1人を失うだけで、なんの意味もない世界に変わるなんて、昔の私は思ってもいなかったんだ。
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*「今日から入った井山Aだ。営業の方に入る。取引先のこと、内容、それにルールや規則などを教えてやるように。裏切ること、裏切りだと思わせるような言動、情報漏洩などがあった場合、即刻死ぬと思え。」
「井山Aです、よろしくお願いします。あちらの世界に未練はありません。」
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未練なんてなかった、ないってちゃんと言えたはずなのに、心に引っかかって仕方がなくて、解けてくれない。
声なんてもう聞こえないのに
触れられないし触れて貰えないのに
笑顔を向けてもらえやしないのに。
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最後に見た君は、なんでか白い髪の毛をしていたね。とても、綺麗で、その白さがすごく好きで、心まで白かったから、きっと、……………………きっと
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私の世界の色だった。
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新しい職場になって、新しい先輩に案内をしてもらいながらも、取引先だとかルールだとか、その他諸々を教えてもらう。
何色でもない世界にハイイロが色付いたような気持ちだ。
歩きながらも、聞きながらも、脳裏をチラつくのは彼のことばかりだったんだ。でもあの日、本当にあの日、私はただ、ただね
ちゃんと君に
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*「説明はこれくらいかな?質問等あるかな?」
「えと、営業っていつから行くんですかね」
*「許可貰え次第直ぐにでも。もしかしたら、今日からかもかな。何かあれば言ってね。裏社会に情なんてない世界だけど、表の世界よりかは楽だと思うよ」
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こくりっと頷いた。そのまま先輩の背中を追いかけて歩いていく。
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それが25歳の時の私が、この世界に踏み込んだ話だ。
あの時は無鉄砲というか、勢いが凄かったな、なんて言うそんな思い出話だ。
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ちょき。(プロフ) - 十六夜夏希さん» まだ2人とも囚われてるような感じになってます!! 少しずつですが、物語が動き始めつつありますので、見守って貰えたらです! コメントありがとうございました! (2021年12月5日 9時) (レス) id: 186429bef0 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜夏希(プロフ) - え、めちゃくちゃ切ない…。それぞれの囚われている感がめっちゃ好きです。ココの推しもっと増えろ。(笑)更新頑張ってください! (2021年12月1日 2時) (レス) @page38 id: 1ab5df6e8d (このIDを非表示/違反報告)
ちえ - ココオタクって言われてしまったうち喜んでいいのやら😩 (2021年11月30日 0時) (レス) id: 0560ab194e (このIDを非表示/違反報告)
ちょき。(プロフ) - ちえさん» 九井くんいいですよね!!わかります!!私も好きです! 今回は九井くんメインのお話でしかも長めのお話なので、楽しんで貰えたらです! コメントありがとうございました! (2021年11月28日 23時) (レス) id: 186429bef0 (このIDを非表示/違反報告)
ちえ - ココが推しなのでこういう話しがもっと見たいです。 (2021年11月26日 19時) (レス) id: 0560ab194e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょき。 | 作成日時:2021年11月22日 13時