帝統が拾った女の話3 (ページ9)

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変わらないものページ9

理鶯side

理鶯「そういえば、Aのことは

これからも『A』でいいのか？

彼女は記憶を戻しているだろう？

今更だが、この呼び名に

違和感は持たないのか？」

左馬刻銃兎「「確かに…」」

帝統「あ、いや。

Aに聞いたけど、このままがいいって。

こいつにとって、俺たちと過ごした時間は

『A』として生きた時間で、

それはこれからも変わらない。

変わりたくない。……だとさ。」

理鶯「そう思ってもらえるのは

嬉しいものだな。

それに、Aの考え方は

過去に囚われていない。とても前向きだ。」

銃兎「……Aにとって

これまでの事が悪いものでなかったのは

分かっていたが、

戻りたい、と言われなくて安心した。」

左馬刻「……だな。

まぁ、あの組はもう終わりだろうから

戻るところもないんだがな。」

理鶯「しかし、Aは

あの若頭はともかく、他の者達には

会いたいと思わないのだろうか。」

未だ小官の腕の中で眠るA。

…………聞いてみたい。

理鶯「…………起こしてはダメだろうか。」

しかし、せっかくの寝顔を

見れなくなるのも惜しいな。

小官は彼女の寝顔を見るのが好きだ。

故に、起こすのは勿体ない。

理鶯「………………ﾁｭｯ」

「「「「「！？！？！？！？」」」」」

銃兎「理鶯！？いきなり！

どうしました！？」

左馬刻「お、おっおい、理鶯！

何してやがんだ！！」

理鶯「む。…………すまない。

…無意識だった……。//」

小官は何をっ……！

理鶯「……少し、頭を冷やしてくる。

左馬刻、Aを頼む。」

左馬刻「お、おう……。」

Aを抱き上げ、左馬刻へ渡し、

事務所の外へ。

理鶯「……はぁーーー。

Aといるといつも

調子を狂わされるな…。」

これでは軍人として失格だ。

ｽﾀｽﾀｽﾀ

理鶯「む。…帝統か。どうした？」

帝統「……理鶯さん、悪い。

理鶯さんにはよく世話になってたけど

……Aだけは渡せねぇから。

けど、これからも仲良く

してやって欲しい。

矛盾してんだけど……」

理鶯「……分かっている。

Aもきっと、小官や他の奴らではなく

帝統を思っているだろう。

先程眠っている時、

寝言で帝統の名を呼んでいたぞ。

……人のものを奪う気は無い。

安心してくれ。」

帝統「……あんがとな。

んじゃ、先戻ってる。」