ブクロの番犬の隣を歩くのは…。2

彼氏 ページ23

Aside







人前でイチャつくというのが苦手で

こんな事をしていいのか分からなかったけど

はっきりと見せつけたいと思ってしまった。




二郎の腕に自分の腕を絡めて、

二人に目を向け、デート、と告げると


あからさまに動揺しているのが分かる。




真琴「えっ、Aさん…

もしかして二郎君の事、好きなんですか？」



悠真「……そう、いう関係って事？」




A「そうですね、付き合ってます。」









真琴ちゃんは、私が高校時代に

家庭教師をしていた、先生のお子さんで

悠真さんはそのお兄さんだ。



悠真さんは私よりも歳上だったけど

気さくで優しくて、

当時は多分少し憧れていた気がする。





…………だから、こんな事をしてしまったんだ。




わざわざ言う必要の無いことを伝えて

動揺させて、その隙に挨拶をして

二人から離れた場所まで歩いた。






二郎「……Aがああいう事すんの珍しい。


あいつら、誰なんだ？」





怪訝そうにする二郎に彼らの事を話した。








二郎「……A、もしかして

あいつのこと好きだった？」




っ…………


A「そんな事ないけど、なんで？」





二郎「……………やっぱ、好きだったんだろ。」




A「っ…………なんで…。」



なんで、こういう時だけ気づいてしまうの？




二郎「Aってさ、…人の事

基本嫌いになんねぇし、

こういう事聞いても、人としては好き

っていつも言うじゃん。


なのに、そんな事ない、って……

なんか、、逆に怪しい。」





うわ……墓穴……。



A「…………当時は多分少しだけね。

今は二郎が好きだし、なんとも思ってない。」



二郎「そっか……。」









二郎は、怒っている様子でもないけど

明らかに口数が減ってしまって、

山田家に着いたあとも、ずっと大人しい。




私も私で、どう声をかけていいか

悩んでしまって結局お互い無言。









そんな様子を見かねて、一郎に声をかけられた。




一郎「……また喧嘩か？」



A「…………そう、じゃないと思うけど、

ごめん……ちょっと動揺してる。」





一郎「何があったんだ？」




一郎に、今日あった事を話した。


A「……とりあえず、ご飯作ったら

声かけようとは思ってるんだけど…。」



一郎「……あー…………。」



A「…え、何…？」

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