interlude25 ~Unexpected night~ [カラ松] ページ30
夜中の環境音を聞きつつ、カラ松さんの横に並んで欄干に肘を置いた。
ゆったりとした時間が流れるが、それでも…
"何を話すのか"というより"アレを話す機会なのか"という気持ちが湧く。
「ﾌｯ…やっぱり外でも暑いな…」
「ふふ、…ですねぇ。カラ松さんは…眠れなかったんですか？」
「俺も暑さでだ。同じだな」
「なるほど…」
結局、話そうと言ってくれたのに私は何も話していない…。
父が死んだ時の事を話すと言っても…人に相談した事はほんとに数度、困らせるなら避けたい話題だ。
でも話そうとしてくれているんだし…むむ…
「…話」
そう溢せば、ﾋﾟｺﾝ、とカラ松さんが小さく跳ねた。
「ああ…そうだな。話そうか、Aちゃん。他愛なくてもいい。」
「…そうですね…じゃあ。一松さんについて話していいですか。」
「へ！？一松！？」
逃げてしまった。
勇気がまだ足りない。
という訳で、ご兄弟であるカラ松さんに、気になっていた一松さんの事を訊く事にする。
「私、出会い頭から一松さんに酷いことしちゃって…」
「え？」
「おそ松さんと勘違いしてしまいまして。」
「ああ！ﾌｯ…同じ顔が六つだからなァ、しょうがないさ。」
そっとフォローが入る。思わず笑顔を返した。
「加えて、苦手なタイプの人と私が似ていた様で…酷い思いをさせているかもしれません…。それでも、良くしてもらっているんです。だから…逆に申し訳なくて…」
…自分の手遊びを見つめがら、独り言のように口ずさんだ。
「え！？…苦…いや、そうじゃない…多分、そうじゃないんだAちゃん。」
「…？」
てっきり『そうかもなー』といった返事が来ると思っていたが、予想に反してカラ松さんの返答は笑いのこもった否定だった。
「うまくは言えないが…信じてやってほしい。きっと一松はAちゃんの事が好きなはずだ。」
「……。」
…思わず呆気にとられる。
確証を凌駕した"信頼"…だろうか。一松さんはカラ松さんに当たりがキツかった気がするのに…。
「…だと、嬉しいですね。」
「きっとそうだ。」
そう言って笑うカラ松さんの笑顔に、惹きつけられた。
少しずつ鼓動は早まっていく。…下手にベランダに出てこない方がよかったか。大人しく寝ておけば良かったかもしれない。
「一松は、ああ見えて優しい奴なんだ。」
「ええ…知ってますよ。」
「ﾌｯ…そうか…そうだな。」
「ふふっ。」
はは、と思わずお互いに笑い声が重なった。
interlude26 ~Unexpected night~ [カラ松]→←interlude24 ~Unexpected night~ [カラ松]
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 68人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちよ(プロフ) - 山野さん» 山野さあああん (´；ω；)全然うるさくないです！！支えですよっ！私こそ山野さんの丁寧なコメントにいつも手を合わせてます(^q^)こちらこそ！よろしくお願いします(´；ω；`) (2016年5月25日 21時) (
レス) id: 1b8a8f3402 (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - リーチェさん» リーチェさんも読んでくださっていたんですね(´；ω；`)ほんとに有難うございます！！応援の言葉も感謝ですー(*´｀) がんばりますね！！ (2016年5月25日 21時) (レス) id: 1b8a8f3402 (このIDを非表示/違反報告)
山野 - ありがとうはこちらのセリフですよ!!!こちらの作品は勿論のこと、ちよさんのお返事も心の癒しです!!いつもうるさい私に温かく優しいお返事を…。更新待ってます!これからもよろしくお願いします!(*^^*) (2016年5月25日 19時) (レス) id: 0b9a2524d4 (このIDを非表示/違反報告)
リーチェ(プロフ) - ごちそうさまです！！どんどんおそ松さんが好きになる！！更新楽しみにしてます！ (2016年5月25日 18時) (レス) id: 17c6545a89 (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - 山野さんもリーチェさんも柿さんもありがとうです(*´ω｀*)ﾉｼ (2016年5月24日 20時) (レス) id: 2e0792aaef (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちよ | 作成日時：2016年4月22日 21時
