Euphoria【Raul】 (ページ40)

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Grateful days 40 ページ40

「でも、結構並ぶよ？」

「いいじゃない、話してればあっという間だよ」

手を引いて列に並ぶ。

ラウールは巡業中に起こったいろんな珍事を話してくれて、笑っていたらやっぱりすぐだった。

甘い匂いに釣られてシュガーたっぷりのドーナツやチュロスも買い込み、お寺の方へ人波に流されて歩いていく。

境内にはたくさん机と椅子が並んでいてどこもいっぱいだったけど、運良く目の前でベビーカーを押した家族が立ち上がったから、空いた席に急いで座った。

２人ともコーラで乾杯。

「んー！めっちゃ美味しいコレ！！Aさんも食べて！」

目の前にチーズホットクが差し出された。

「じゃあ・・・いただきます」

少し冷めてしまったけど、まだ中のチーズはトロトロしていて温かく、蜂蜜の甘さとチーズのしょっぱさが舌の上に雪崩れ込んでくる。

「美味しい！！初めて食べた！！」

「ねー！美味しいよね！！・・・あ」

ラウールがパチパチと瞬きをした。こくん、と喉を鳴らして手を伸ばしてくる。

彼の親指が、唇に触れた。

どくん、と大きく乱れる拍動。脈が速くなる。

ラウールはわたしの唇に押し付けた指先を、じっと見つめた。

拭けば、と言う前に、それは彼の口の中へ。

「・・・あまい・・・」

目眩がする。

なんだ、これ。

知っているような、全然知らないような、この感情は。