Grateful days 34 ページ34
「そんなら結婚とか考えてんじゃないのー?」
レンゲに乗せた小籠包をふーふーしながらさらりと言われた。
「あー、それはない、かなぁ。しばらくないですね、うん」
「そうなんー?Aちゃんのウェディングドレス姿とか、めっちゃ綺麗そう」
「それは、誰が着たってそうですよ。そういうものだから」
「それもそーか!!」
「佐久間くん、それめっちゃ失礼」
「えっえっ!そ、そう?!ごめんごめん!」
目黒さんが怖い顔で佐久間さんを叱り、佐久間さんは漫画みたいに目をキョロキョロさせて頭を下げた。
そのとき、テーブルの下で、左手の指先がきゅっと握られた。
ハッとしてラウールの方へと顔を向ける。
眉間を少し険しくして、目尻が少し釣り上がったアーモンド型の瞳が、じっとわたしを見つめている。
結婚、とか聞いて心配になっちゃったかな。
大丈夫、という気持ちを込めて、その手を握り返した。
「はーい、そこ〜、
つまんなそうな声と手が、視界を塞いだ。わたしの背中を包むように、佐久間さんが手を伸ばしたのだ。
「もう!佐久間くんさぁ、なんか今日いじわるじゃない?!」
「はぁ?いじわるなんかしてねーし!」
あ、あれ・・・なんか険悪な雰囲気・・・
「気にしないで。いつもの喧嘩コントだから」
頭上から降ってきたのは、岩本さんの呆れたような声だった。
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作者名:ゆき乃 | 作成日時:2022年9月24日 19時