Euphoria【Raul】 (ページ30)

今日:15 hit、昨日:9 hit、合計:54,294 hit

Grateful days 30 ページ30

真ん中だから、さっさと出よう・・・

ぞろぞろと動き出すお客さんの流れに乗って通路に出た。

「お客さま、よろしいですか？」

黒いスーツの女性。会場の係の人か、始まる前あちこちに立っていた。

「わ、わたし、ですか？」

「はい、ご案内するように言付かっております。こちらへどうぞ」

びっくりした、何か悪いことしちゃったのかと思った・・・

流れを遮らないようにしつつ、うまく人を避けて進むその後ろをついていく。

『関係者以外立入禁止』のドアにどきどきしていると、それを開いて中へと促された。

リノリウムの廊下には人が行き来していて、ぶつからないように避けながら再びドアの前で足を止める。

「こちらです」

コンコン、とノックしてる。え、待って！心の準備が！

はーい、と中から声が聞こえて、開け放たれたドア。

出てきたのはピンクの髪のダンサーだ。

「ありゃ？だれ？」

ですよね・・・

「Aさん！！」

その後ろからすっとんできた大きな体が、ドシンと勢いよくぶつかる。デジャブ。

「Aさん！来てくれてありがと！！」

「ら、ラウール・・・苦しい・・・」

抱き潰される・・・

頭にぐりぐりと頬ずりされて、バシバシとその背中を手のひらで叩いたら、ようやく離れた。

「こーら、らう！ビックリしてるじゃんか」

細身で長身の、ちょっとコワモテの人が顔をしかめながら近付いてくる。