Euphoria【Raul】 (ページ21)

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Grateful days 21 ページ21

頷いたら、「やったー！」と両手を高く上げた。うわ、天井が近いな！

「ありがとう！Aさん、いってらっしゃい」

「はーい、いってきます」

顔の横で小さくお手振りをしてくれてる。そんなふうに送り出してもらうのって、すごくすごく久しぶりだ。

ドアを閉めたら、ほこほこと温かい気持ちが胸に湧いてきた。

「Aさ〜ん」

「深澤先生、おはようございます」

「はぁい、おはよーございます。昨日の、どうなった？」

薬品庫から出てきたところで、辰哉が待ち構えていたように声をかけてきた。

「しばらく居候することになりました」

「あっそう。じゃあ手料理はお預けか」

ぽつりとなんでもないことのように放ってくるから、人が悪い。

２年も付き合っていれば、今までだってこういうことはあった。

まあでも、大人だし。家だけじゃ、ないし。

「今日は？」

「夕飯、何作ろうかなって考えてたところでした」

聞かれて誤解されないような言い回しをするのにも、すっかり慣れてしまった。

「ふうん。お子様にはハンバーグかオムライスでも出しとけば」

ちらりと冷たい目線が投げられる。「じゃあな」と口をとんがらせて行ってしまった。

拗ねちゃったかな。でも、今はラウールの方が優先だ。

なんだか、ラウールを見てると希少動物に出会っちゃったような気分になってくるのよね。保護してあげなきゃ！みたいな。

あのキラキラおめめのせいかしら・・・