Euphoria【Raul】 (ページ3)

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Grateful days 3 ページ3

「あっ、ご、ごめんなさい、ぼーっとして・・・わたしも母のお見舞いに来たの。よかったら途中まで一緒に行きませんか？」

「はい！」

よかった、少し笑顔を見せてくれた。

受付で小さな紙に個人情報を記入して提出すると、首から下げるカードをもらって入院棟へと進む。エレベーターの階数も同じだった。

8階は個室フロアだ。一緒に降りて、分岐に差し掛かることなく連れ立って進む。

おかしいな？でも、さっき会ったばかりの子がわたしを尾けることなんてないだろうし・・・

チラッと隣を見上げたら、同じようなことを思っていたのか戸惑ったような視線とぶつかった。

805号室。

足を止めた扉の前で、彼も足を止めた。

「え？」

思わず顔を見合わせた。

「ここ、ですか？」

「そのはずなんですけど・・・」

その子が扉に手をかけて、そうっと引き戸を開けた。

「ママ！」

広い個室には、外国人の男性とベッドに横たわる女性。

お父さんのお葬式以来だから５年ぶりくらいに会う、母親だったひと。

「Raul！」

外国人の男性が手を挙げると、隣の子は大股でベッドへと近づいた。

「ママ、具合どう？来たよ」

足がすくんで動けなかった。

どういうこと？わたしの母親が、あの子のママ？