Grateful days 12 ページ12
「いや、いいよ。っていうか、オレ帰るわ。せっかく来てくれたんだろ?話があんじゃねーの」
辰哉は下ろしかけた荷物をまた持ち直した。
「あ、ラーメンは?」
「ばか。そんなのまた注文しとくわ!弟さんと食べろよ。後で旨かったか感想聞かせて」
じゃ、と辰哉はまっすぐ玄関に引き返した。
「ごめんね、また」
「おう」
ピラピラと手を振る姿を見送って、ドアを閉めた。
「あの・・・」
「さて!まずはごはんにしようか。今日はお取り寄せラーメンなの。すぐできるから待ってて」
泣きそうな顔で立ち尽くしているラウールくんに笑いかけると、ぐっとその唇を噛みしめた。
「いいのよ、辰哉とはいつでも会えるし。ラウールくん、よくウチがわかったね」
「お葬式のときに、住所が・・・ホントにごめんなさい、急に押しかけて。電話しようか迷って・・・」
「そうなの?そしたら電話くれたらよかったのに」
話しながらラーメンの準備をしていたら、流しで手を洗ったラウールくんが邪魔にならないところにすっと立った。
「電話して、『あんた誰?』とか言われたら嫌だなって・・・ごめんなさい、家の前まで来て結構悩んじゃった」
「え、そうなの?いつから?」
「1時間くらい、かな・・・?」
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作者名:ゆき乃 | 作成日時:2022年9月24日 19時