Grateful days 2 ページ2
「あっ・・・」
しまった、うっかり見惚れてしまった。
「急に声をかけてすみません。どこか具合が悪いですか?」
男の子かな、女の子かな。キリッと太い眉、だけど長いまつ毛に縁取られた大きな瞳にぽってりとした赤い唇で、中性的な印象の不思議な子だ。
「だ、大丈夫です・・・その、ちょっと、悲しくて・・・」
言ってるそばからまた涙が盛り上がる。
慌ててバッグからタオルハンカチを取り出した。
「ありがとう・・・ママの具合がすごく悪いんです。お見舞いに来たんだけど・・・」
堪えきれずにつう、と雫が流れ落ちる。
「そうなんだ。それは辛いですね」
背中を撫でてあげると、タオルハンカチを目に押し付けたその子がずずっと鼻を啜った。
「でも、行かなきゃ。もうあんまり一緒にいられる時間はないから」
長く息を吐いて呼吸を整えると、その子はゆっくりと立ち上がった。
・・・うわ、大きい・・・
トトロの映画に出てくる木を思い出した。夢の中ですごいスピードで成長するドングリの木。
隣に立ったら、わたしなんか肩までも届かない。
「お姉さん?」
急に顔を覗きこまれた。綺麗な顔がいきなり視界を覆い尽くしたものだから、びっくりしてのけぞってしまった。
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作者名:ゆき乃 | 作成日時:2022年9月24日 19時