しあわせのおと【Daisuke.S】 (ページ8)

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PEACE!! ８ページ8

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私は聞いてしまったのだ。あの噂を。

「知ってる？さっくんと阿部さんて、付き合ってるってウワサ」

え。

マジですか。

「阿部さんにね、さっくんと付き合ってるのー？って聞いたら、曖昧に笑ってごまかしたらしいよ」

え、え、それマジなやつじゃないですか。

顔が引き攣ってないだろうか。

ああ。でもみんないろんな表情をしてる。びっくりしてる人、納得してる人。

佐久間さん、好きなひとがいるんだ・・・

そりゃいるよね。相手が女性じゃないっていうのは想定外だったけど・・・そっか・・・恋人がいるのか・・・

っていうか、そもそも佐久間さんがゲイだったら私に勝ち目なんか・・・いや、勝ち目とか・・・

「あーーーーーー」

そのあとは何してたんだかよくわからないまま終業時間を過ぎていた。人気のないフロアに私のため息が虚しく響く。

佐久間さんがリモートワークの日でよかった・・・こんな姿見せたくない。

「帰ろ・・・」

のろのろと立ち上がってエレベーターに乗る。

下を向いていたから、先客に気づかなかった。

「喜多川、おつかれ」

「目黒くん・・・」

「どうした？なんかあった？」

心配そうに覗き込んでくる。

「なんでもない・・・」

「このあと帰るだけ？そしたらメシ行かない？」