しあわせのおと【Daisuke.S】 (ページ1)

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PEACE!! 1 ページ1

あのひとのまわりには、いつも人がいる。

大輪の花に蜂が群がるように。

ピンク色をした大きなガーベラように、彼はみんなを惹きつける。

・・・私もそのひとりだ。

けど、その群れの中に入っていく勇気すら、ない。

「おーい、佐久間〜！アレもうできてる〜？」

「あ、はーい！今行きまーす！」

女の子やおばさまや嘱託のおじさんまでもが彼を取り囲んでいたけど、部長の声でぴょんとその輪を飛び抜けた佐久間さん。

あ・・・

ぴたっと両足で着地した彼が顔を上げた。

くりっとした目が、私を捉える。

お？

と口をすぼめてから、ニヒッと人なつこい笑顔。

「部長のとこ、行ってくんね〜」

「は、はい・・・」

やば、心臓ばくばくする。

顔があっつい。

ぴらぴらと手を振った佐久間さんの背中に向かってペコペコと頭を下げた。

顔を上げると・・・もういない。当たり前か。

ほう、とため息が漏れる。

こんな無駄な恋、早く捨ててしまいたい。

いつから好きなんだろう。

はじめから、好きだった。

うーん・・・はじめは怖いひとだったかな。

異動してきて、みんなの前で自己紹介して、まさかの名前を噛んだ。

クスクスと失笑がさざなみのように広がる中、大きな音でパチパチと手を叩いてその居た堪れない空気をぶち壊してくれたのが、佐久間さんだった。