今日:1 hit、昨日:34 hit、合計:29,931 hit
小｜中｜大
5 see ページ5
「あっ、いた！A！」
岩本さんは耳に当てていたスマホを下ろして、にこりと笑顔を見せた。
「岩本さん！」
「もう部室来れる？他の奴らも集まってきてるよ」
「うん。目黒、ごめん、いい？」
なんか、捨てられた子犬みたいな顔してる。私と岩本さんを交互に見て、唇をきゅっと噛んだ。
「ああ、また機会があったら」
「ごめんね。じゃあまた、大学で」
周りのクラスメイトにも挨拶をして、荷物を手に取った。廊下で待っていてくれた岩本さんの元に駆け寄ると、ぽんと頭を撫でてくれる。
「いっぱい写真撮った？」
「うん。フォルダがもういっぱいかも」
「そっか。あとでさ、オレたちも撮ろう」
OBの岩本さんとは同じ時間をこの校舎で過ごしたことはないから、なんだか不思議な感じ。
「オレもAと一緒に青春したかったなー」
「私も同じこと考えてた」
斜め上を見上げると、優しい視線がそそがれる。
「A、卒業おめでとう」
「ありがとう。これでやっと、彼女(仮)も卒業かな」
む、と岩本さんが口を尖らせた。
「なんだよ、それ。オレはずっと、Aがちゃんと彼女だって思ってたよ？まぁ、だけど・・・」
2人のあいだで指が絡む。
「これからは、もう少し近くにいられるな」
「うん」
きゅ、と強く握られて、私も気持ちをこめてその手を握り返した。
＊
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 244人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆき乃
| 作成日時：2022年7月10日 0時
