Good for you!【Ren.M】 (ページ32)

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着ていたダウンを脱いだ目黒は、２列に並んだ向こうのテーブルで女の子たちに囲まれてる。

何を話しているのかはよく聞こえない。大音量の中、女の子が彼の耳に顔を寄せて一生懸命話しかけてる姿をただ眺める。

目黒はその話を聞いているのかいないのか、その子に対して大きな身体を屈めているけど、目線だけこちらに寄越してくる。

大橋くんが最後まで完璧に歌いきり、部屋の中はすごい騒音。

みんなにもみくちゃにされながら、彼は自分のグラスが置いてある私の向かいの席へと戻ってきた。

「大橋くんてすごく歌うまいね。びっくりした」

「えへへ、照れますぅ。Aさん、ちゃんと聞いててくれました？」

「うん、聞いてた聞いてた！」

次のアイドルソングもガチャガチャと騒がしい曲だ。自然、２人とも顔を寄せて、大橋くんの吐息が耳にかかるくらいの距離で話すしかない。

さっきのボウリング場で隣だったときより距離があるはずなのに、なんか、近い。

・・・あれ、急に陰った？

ジンジャーエールのグラスに手を伸ばしたとき、ほとんど座るスペースのなかったソファの端っこに無理くり腰を下ろしたやつがいた。

「目黒くーん！おつかれさまでーす」

大橋くんが私を飛び越してその人に声をかける。

私をぎゅうぎゅうと押しながら眉間にシワを寄せてる、目黒。

「喉乾いたな。それちょうだい」

私の手からジンジャーエールをひったくり、ストローの先は彼の唇の中に消えてった。