76粒 ページ29
冷蔵庫で冷やしておいたプリンとお茶の用意をして戻ると、おばあちゃまが昔話をしていた。
「私たちの少し上の世代・・・そうね、おじいちゃまのお姉さんなんかは、戦争の被害者だったわねぇ」
ドキリと心臓が跳ねる。
それって、あのかんざしの・・・
「当人たちは想い合っていたけれど、結局相手の方は戦争に行って帰ってこなかったみたいで。だから、私たちなんかは運が良かったのよ」
照くんの方をちらりと見たら、すごく真剣な表情でおばあちゃまを見つめている。
「好きな人と結ばれる世であってほしいわね」
「どうぞ、お口に合うといいんですけど」
お母さんが会話の途切れた隙に割って入った。
私は照くんの隣、お母さんはお父さんの隣に腰を下ろす。おばあちゃまはすでにお誕生日席にでんと座っている。
「そういえば、岩本さんのお仕事をまだ聞いていなかったかな。どちらにお勤めか伺っても？」
お父さんが戦いの火蓋を切って落とした。
はぐらかしてたの、バレてるな・・・
照くんは手にしていたお猪口を置き、名刺入れを取り出した。
「滝澤製菓株式会社に勤めています」
まっすぐに。何も誤魔化さずに、名刺をお父さんへと差し出す。
お父さんは無言のままそれを受け取った。お母さんの眉間には皺が刻まれている。
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ゆき乃(プロフ) - りょうさん» 読んでいただけただけでも嬉しいのに、感想までいただきありがとうございます！(*^^*) (2022年9月30日 14時) (
レス) id: 631b1f3a24 (このIDを非表示/違反報告)
りょう - こんにちは、感動してぼろぼろに泣いてしまいました。こういったサイトで感想を書くのははじめてです。 (2022年9月29日 13時) (レス) @page34 id: 96accbb316 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき乃(プロフ) - ちるこんぶさん» ありがとう〜(^^)お兄ちゃん、待ってますヨ☆ (2021年10月1日 17時) (レス) id: 631b1f3a24 (このIDを非表示/違反報告)
ちるこんぶ(プロフ) - お疲れ様でした〜。ラスト、ハッピーエンドでよきでした☆ (2021年10月1日 17時) (レス) @page34 id: abe1eed177 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき乃(プロフ) - ちるこんぶさん» お褒めに預かりありがたき〜(*´艸`*) (2021年9月23日 20時) (レス) id: 631b1f3a24 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆき乃
| 作成日時：2021年9月21日 13時
