72粒 ページ25
門に当たったハザードランプの光がチカチカとリズムを刻む。
「送ってくれてありがとう」
「んーん、こっちこそありがとな」
帰りたくないな・・・照くんともっと一緒にいたい。今は我慢する時だと頭ではわかってはいても、どうしたって心は寂しい。
「そんな顔すんなって。寂しいのは俺も一緒」
頭を引き寄せられて、こつんとおでこがぶつかる。
「でもさ、ちゃんと認めてもらいてーじゃん。信用がない奴に大事なものは渡せないっしょ」
ちゅ、と頬が鳴った。
「ちゃんと時間作ろ。待ってるから」
「私、照くんを待たせてばっかりだね」
「馬鹿、Aだったらいつまででも待つっつーの。じゃあな、コケるなよ」
初めて車に乗せてくれたとき、SUVは目測よりちょっと座席が高くて足をグネッてしまったから、降りる時に必ず言われる。
「だいじょう・・・わあっ！」
「ほらな！もぉ」
慌てた照くんが運転席から飛び出してきてすぐに駆けつけてくれた。
「気をつけろって。ほんと目ェ離せねえな」
「ごめんね！じゃあ、また」
「ん、足元ちゃんと見ろよ・・・あ」
なに？と振り向いたとき、唇に一瞬だけ熱が。
「またな。おやすみ」
「うん・・・おやすみなさい」
私が玄関のドアに手をかけて振り向くと、目元をくしゃっとさせて片手を上げた照くん。
手を振りかえしてドアを閉めるまで見送ってくれた。
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ゆき乃(プロフ) - りょうさん» 読んでいただけただけでも嬉しいのに、感想までいただきありがとうございます！(*^^*) (2022年9月30日 14時) (
レス) id: 631b1f3a24 (このIDを非表示/違反報告)
りょう - こんにちは、感動してぼろぼろに泣いてしまいました。こういったサイトで感想を書くのははじめてです。 (2022年9月29日 13時) (レス) @page34 id: 96accbb316 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき乃(プロフ) - ちるこんぶさん» ありがとう〜(^^)お兄ちゃん、待ってますヨ☆ (2021年10月1日 17時) (レス) id: 631b1f3a24 (このIDを非表示/違反報告)
ちるこんぶ(プロフ) - お疲れ様でした〜。ラスト、ハッピーエンドでよきでした☆ (2021年10月1日 17時) (レス) @page34 id: abe1eed177 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき乃(プロフ) - ちるこんぶさん» お褒めに預かりありがたき〜(*´艸`*) (2021年9月23日 20時) (レス) id: 631b1f3a24 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆき乃
| 作成日時：2021年9月21日 13時
