溶けるほど、甘く【Ryota.M.】

melty. 32 ページ32

「あ、そうか。同じアパートだ」

「そうだよ。斜め上が俺の部屋。なんかあったらすぐ言って・・・っていっても、ほとんど店にいるから、そっちの方が早いかな」

振り向いた店長さんの言葉に、ヤバイことを思い出した。

「も、もしかして、最初に見せてもらったお部屋って、店長さんの・・・？」

「そうだよ。何もなかったでしょ、寝に帰るだけだから」

うわーーー！！いつの間に私好きなひとの部屋を覗き見してる！！！やだーーー！！！ごめんなさいーー！！

「Aちゃん？どうしたの、この世の終わりみたいな顔してるけど」

「あのっ、その節は、その！！」

「俺の部屋を見て、ここ決めてくれたんでしょ？お役に立てて光栄です。掃除しておいてよかった」

ああ、こんな夜更けに爽やかな笑顔が眩しい・・・

階段で前を登る店長さんの背中をこっそり凝視する。広い背中。後ろ姿も素敵。

２階の踊り場で足を止めて、その背中はくるりと振り返った。

「じゃあ、Aちゃん、おやすみなさい。メリークリスマス」

「本当に今日はありがとうございました。店長さんも、いい夜を」

「ふふ、ありがとう。じゃ」

名残惜しくて階段を登る後ろ姿をまだ見つめていたら、急に下を覗きこむように振り返ったから、びくりと飛び跳ねてしまった。

「寒いから早く部屋に入んな。あったかくしてね」

こくこくと首を勢いよく縦に振れば、ふっと目元を緩ませて、また階段を登っていく。

えええ！！！斜め上に、店長さんがいるの？？うわ！！寝られる？これ、寝られなくない？！？！



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