【七つの大罪】狙われたポイズンスコール (ページ31)

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魔力の使い道* ページ31

いような感情に襲われる中、自分自身がなにを知るのかを考えて見た。

いくら考えても自分がなにを知っているかなんて、思い当るふしはなく、さらに戸惑いを隠せない。
涙の色が違うことだって、メイリスの言葉しか思い出せないし、涙で命を奪うなんて、私は自覚してもいない。
今こそ自覚しなければいけないところなのだけれど、どうしてもしたくなくて、受け止めたくなくて、ほんとうに現実はいじわるだ。

私はなにも知らない、それはほんとうのこと。
でも、知らないではすまされない。
涙を出すだけで命を奪い、周りを破壊するから。
たくさんの人に迷惑をかけるどころか、取り返しのつかないことになってしまっている。
だから、こうして噂になり、人が押し寄せてくるのだ。
「もう帰ってよ！私はなにも知らないわ！」

「お前がしたことには変わりない。ほんとうにお前は「毒殺の罪」だったのか。」

「知らないって！そんなの親友からちらっと聞いたくらいで、私に秘められている力なんて知る由もない！」

知らないではすまされないはずなのに、口ではふつうに「知らない」とか言ってごまかしまくってる。
誤魔化してはいけないところをまだ認められていない。
「子供は大人の言うことを聞くもんだ！さて、どうしたものか。」

「大人数で子ども扱いしないで！子供だってなめてるとどうなるか教えてあげる！」

涙のことは知らなかった。
でも、魔力、罪の名前はメイリスに聞いて知っている。
魔力が使いこなせるようになったのは、４年間ずっと、使っているから。
使いこなせるようになったからといって、命を奪ってはいけない。
いったい、この魔力はなんのために。
「”ポイズンハンド(毒の手)”！」

魔力を帯びた手が押し寄せてきた人々を襲う。

「命をまた、そうやって奪って行くんだろ？！これからも。」

「命…を？」

一人の人からの心をつく言葉に、攻撃を止めてしまった、というか、攻撃をしていたことすら忘れていた。

違う、この魔力は人を侵すように使うためにあるんじゃないのに。
メイリスといつか言っていた気がする。
”その魔力はね、人を助けるためにあるんだよ？”
人を助けるためにある、それがほんとうの使い道なのに。
強い力を使って人を冒すなんて、なんの罪もない人たちを壊すなんて。
なんでもない私たちの大事な日常を私自身で壊すなんて。
日常は人すべてにとって大事なもの。
それを壊すなんて、今思えばできないことだったけど、魔力を持ち、力を持ったから考えが変わってしまった。