【七つの大罪】狙われたポイズンスコール (ページ27)

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人の作るぬくもり* ページ27

メイリスの手を握れない私は、毎日を生きていけるだろうか。
毎日、メイリスの手によって支えられ、守られてきた。
あの、暖かい手がなくなった今は、どうやって生きて行けばいいのかがわからない。

メイリスのぬくもりは世界一だったのに、メイリスがいる日常はすごく楽しかったのに。
私に取っての陽だまりはメイリスしかいなかったのに。
いつも私を包んでくれるメイリスが大好きだった。
メイリスもなんの役にも立たない私を大好きだと言ってくれていた。

明日が見えない。
今はメイリスが息を引き取ったあの場所しか思い出せない。
それと、メイリスの数々の思い出が頭に過り、さらに寂しくなる。
「きてくれるよね、メイリス。」

私はメイリスが都から会いに来てくれることを信じて、家に帰ることにした。
結構な遅い時間で家のドアを開けて「ただ今」と呟いてみる。
いつも抱き合っていたあのベッドにも、いつも一緒にご飯を食べていたあの食卓にも、いつも歯磨きをしていたあの洗面台にも、家の中どこを探しても、今はメイリスがいない。
改めて探して見るが、やっぱりいないようでまた、涙が出そうになるのを堪える。

メイリスのにおいがベッドにも、家の中のどこにもついている。
私の匂いとまじって奇妙なことになっているのもあった。

とりあえず、今日は頑張って寝ようと、ベッドに入って見た。

横にメイリスがいないと少し寒く感じた。
横にメイリスがいないと、誰とも会話ができずに、楽しい夜を過ごせなくなった。
怖い夜だって、なくなっていたはずなのに、メイリスがいなくなると、また戻ってくる。
”A？そんなに悲しく思わないで”

「ヒァー！」

寝ようかと思っていると、突然の天上からする声に驚いてしまった。

「め、メイリ…。」

”そう、メイリスよ。今から私がいうことをよく聞いて。”

超えの正体はメイリスで、姿はまったく見えない。
「待って、い、今は眠たい…。」

”こら。しょうがないわねもう。わかった、また明日会いに来てあげる、そのときに。”

「待って！」

思わず帰ろうとするメイリスを引き留めてしまった。
「寝るまでそばにいて」なんて恥ずかしいけれど、言ってしまった。

案外あっさり承諾してくれて、私は安心して眠ることができそうだ。
”疲れるから早く寝てね。”

笑いながらそういうメイリスの声のする方に、手を伸ばしてみるがやっぱり触れもしない。当たるのは空気だけだ。
それがメイリスには変な動作だと見えたらしく、また笑いだす。
「ええへへ、ごめんなさい。」

私もなんだかおもしろくなって、わらけてきてしまった。