崩れゆく夢を抱きしめてⅡ【うらさか】 (ページ11)

今日:10 hit、昨日:1 hit、合計:3,106 hit

第四章　脆く、細い、糸　※skt side ページ11

物心ついたときには、子供たちのたくさんいる、いわいる孤児院というやつにいた。

普通に小学校に行ってた。
授業参観や、入学・卒業式は誰も来なかった。保護者のプリントもほとんど配られなかった。

そんなこともあり、誰も俺に近づかなくなった。でも、｢いじめ｣そんな言葉を聞くけど、俺には虐めてくる相手もいなかった。ただ、小中9年の時が過ぎ去った。

高校になって、孤児院を出て一人暮らしを始めた。その時、ここまで育ててくれた、葉山さんって人がいた。

葉｢あのね、、、

高校生になったから、話しても良いと思う。落ち着いて聞いてね。｣

葉山さんのポケットから出てきた小型の録音機。

葉｢これは君のお母さんから。｣

大好きな優へ

癖のある丸文字でマッキーで書いてあった。

さ｢俺に母さんなんていたんだ、、、｣

誰にも本当に愛されたことなんて、一度もない。だから、

母さんより

その文字を見たときにも何も思わなかった。
でも、母さんは俺を捨てたんじゃないか…

さ｢葉山さんは聞いたん？｣

葉｢聞いてないよ、

息子のおまえが聞かなきゃ意味ないだろ｣

その言葉に肩が上がった。
もしかしたら、容量いっぱいに暴言が入っているんじゃないか…。

たしか、人生で一番不安だった。
聞く前は吐きそうで、何もないのに涙がこぼれ落ちた。

母「優…

あのね、、、｣