検索窓
今日:2 hit、昨日:15 hit、合計:83,703 hit

elegeia kwkm(SS) ページ45

「なぁ、マスク暑苦しくないの?」

『そ、それは…』

「別にええけど」



帰り道、たまたま方向が同じだからということで一緒に川上さんと帰ることになったのだが、如何せん私は川上さんのことが好きなため、鼓動の速さがバレないかと必死だった。

二人きりの夜道、好きなのなら今が絶好の告白チャンスなのだけれども、私はそんな勇気などなかった。

それは勿論気持ちの問題でもあるのだが、私にはもう一つ、絶対に気持ちを伝えてはいけない理由があった。



「Aさんさ、俺のこと好きでしょ」

『えっ!?』


勢いよく顔を上げると、ニヤニヤと笑っている川上さん。まさかバレていたなんて。


「良いよ。付き合ってあげる」


なんというお言葉。本当ならばこんなに嬉しいことは無いはずなのに、胸がとてつもなく痛んだ。



『それは、無理です』

「…なんで?」

『だって…』

「だって、何?」



い、言えない。どうせ言ったって信じてくれないかもしれないし。でも、このままじゃ言わないと帰してもらえなさそうな雰囲気だし…。



『キスすると、川上さんが死んじゃうから…』

「ふーん」



ついに言ってしまった。もうこれで完全に引かれただろう。そんなドラマみたいな話、ありえるわけが無いと何度言われてきたことか。

だが本当なのだ。私とキスした人間は、皆死んでしまっている。川上さんには、まだ死んでほしくない。悲しいけどこれで良かったんだ。これで、私のこと嫌ってくれれば、それで…





「じゃあ、試してみる?」

『え、』



腕をいきなり掴まれて視界がぐらりと歪んだ。目の前には川上さんの顔があり、耳元で囁かれて思わず体が反応してしまった。



『な、何を、ですか』

「ん?キス。本当に俺が死ぬかどうか、今からして確かめようよ」



もう、私に拒否権はないのだと悟った。無言は肯定と捉えられたのか、口角を上げた川上さんの顔が近づいてきた。唇が重なるまで、あと、0秒。




..

期間限定でトドメのパラレルが見れたので、見ていたらふと思いついたお話。
実際のドラマでは7日前にタイムスリップですが、このようにフィクションにフィクションを重ねております。

二度あることは、三度ある…? sgi→←...



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (56 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
134人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ちゃるちゃる(プロフ) - いろさん» ありがとうございます〜!これからも温かい目で見ていただけると嬉しいです! (2020年2月22日 16時) (レス) id: d523c3bebb (このIDを非表示/違反報告)
いろ(プロフ) - 続編おめでとうございます!楽しみにしてますっ (2020年2月21日 6時) (レス) id: 5fbef9d1c0 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ちゃるちゃる | 作者ホームページ:   
作成日時:2020年2月20日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。