トキの砂 izw ページ28
※ファンタジー要素あり。何でも許せる方のみどうぞ。
ここ2日ぐらい仕事が捗らず、家に持ち帰ってなんとか終わらせていた。ふとパソコンから目線を外してみると、全身黒に身を包んだ女性がこっちを見ていた。
…うん、疲れてるんだろうな。眼鏡を外して少し目を擦った。しかし目の前にいる女性の姿は消えない。これは1度寝た方が良さそうだな、と思いいつも使っているホットアイマスクを用意した。
『寝るんじゃないよ残り3日なのに』
ずっと此方を見ていた女性が遂に口を開いた。しかし見かけによらず口の悪い女だな。
「なに?いつもの死神さんじゃないんだ?」
一つため息をついて彼女と目を合わせた。
『あぁ、アイツは無能すぎだから仕方なく私が代わりに手伝うことになったんだよ』
「何だそれ」
一切表情を変えることなく俺を見つめるこの人。いや、人ではない。
『いい?あと3日でアンタは死ぬの。悔いなく生きてもらうために手伝うって言ってるんだからなんでも言いなさいよ』
「そうは言ってもなー」
そう、俺は4日前、急にスーツ姿の男が現れて「おめでとうございます。貴方をお迎えに上がりました」と言われたのだ。数年前にこんなドラマを見たことがあったが、まさか実際にあったとは。それも、俺が経験するとはな。
『本当にさぁ、後悔するのは自分なんだからね?知らないよ?』
「うーん」
そして目の前にいるこの女性もきっと死神なんだろう。
『言っておくけど、私はあの無能死神とは違うから。アイツは死神No.516号で、私は監死官94号だから』
「あ、違うんだ」
『死神がちゃんと仕事を全うしているかを監視する役割。カラスだね』
「それなのに死神と同じ仕事してるの?」
純粋に疑問に思ったからこう聞いただけなのに、「お前の扱いが難しいからだわ!」と怒られた。
『確かにあの死神はカスだけどそれよりもアンタが一筋縄ではいかないのがいけないんだよ。素直にやり残したことを出来るだけやっていけばいいのにさ』
「それが出来たら苦労しないよ」
俺がそう言うと、死神…じゃなかった、監死官さんは悲しそうな顔をして黙ってしまった。
『分かってるよ。アンタが社長をやりながらテレビに出たりして大忙しなのは。だからこうやって私が来ているんだろ』
大体宣告を受けるのは3日前が多いようで、7日間の猶予というのは、これでも待遇されているらしかった。
133人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「QuizKnock」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちゃるちゃる(プロフ) - いろさん» ありがとうございます〜!これからも温かい目で見ていただけると嬉しいです! (2020年2月22日 16時) (レス) id: d523c3bebb (このIDを非表示/違反報告)
いろ(プロフ) - 続編おめでとうございます!楽しみにしてますっ (2020年2月21日 6時) (レス) id: 5fbef9d1c0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ちゃるちゃる | 作者ホームページ:
作成日時:2020年2月20日 17時