ペア wtnb ページ11
「Aは?好きな人とかいないの?」
『え、私?』
仲のいい女友達とご飯を食べていると毎度おなじみの恋バナへと発展する。恋バナってだいたい全員回ってくるんだよね。しれっと皆のを黙って聞いていたら回ってきてしまった。
『まぁ、1人…?』
おお!っとみんなの温度が上がる。そりゃ思い当たる人はいる。一人で思い出してしまって今にも顔が火照って茹で上がりそうだ。
「どんな人なの?」
『優しい先輩で、皆から好かれていて、一緒にいて凄く楽しい人』
「まぁまぁ、そういう人って理想だよね」
結局皆そういう人が好きだよね、と全会一致で頷く友達。
「告白とかしないの?」
『いやー、もしかしたら彼女いるかもしれないんだよね』
えー!とまるでバラエティ番組のひな壇にいるガヤのようなリアクションを取ってくれて思わず笑ってしまった。
.
「Aちゃんおはよ」
『あっ、こう先輩、おはようございます』
昨日の今日だからちょっと意識をしてしまう。なるべく悟られないように平然を装いながらデスクへ着いた。
先輩の右手薬指にはキラキラと光る指輪が嵌められている。恐らくアレは彼女さんとのペアリング。仕事場にはプライベートの話は持ち込まないのか、1度もそういう話は聞いたことないけど。
そう友達に言ったらまだ諦めるのは早いと言われた。行けるものなら聞いてこいとまで言われてしまった。流石にそれはただの仕事仲間の後輩にはハードルが高い。
もしこれで彼女とラブラブなんだ、と言われた暁には私のメンタルは間もなくご臨終する。現在進行形で光り輝く指輪をチラッと先輩の目を盗んで見つめ…って、ない?何で?どうして?
「ん?どうしたの?」
しまった、口に出していたようだった。今更口を抑えてももう遅い。目の前には張本人がはてなマークを浮かべて立っているじゃないか。
『あっ、いや、えっと…』
「なになに」
笑いながら私の目の前に座る先輩。ええい、今しか聞くチャンスはないぞ、行くんだA!
『あの、いつもつけている指輪、無くしちゃったんですか?』
「ああ、これ?家にちゃんと置いてあるよ。今日は良いかなって思ってつけてこなかった」
『そうなんですか…』
え、ペアリングって気分で付け外しするもんなの?なるほど、恋愛経験ゼロに近しい私には初知り情報だった。
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ちゃるちゃる(プロフ) - いろさん» ありがとうございます〜!これからも温かい目で見ていただけると嬉しいです! (2020年2月22日 16時) (レス) id: d523c3bebb (このIDを非表示/違反報告)
いろ(プロフ) - 続編おめでとうございます!楽しみにしてますっ (2020年2月21日 6時) (レス) id: 5fbef9d1c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃるちゃる | 作者ホームページ:
作成日時:2020年2月20日 17時