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よ、良かった…!ふにゃっとした笑顔で食べる手を進めてくれる。本当に安心した。もしこれで不味いと言われていたら切腹するしかなかったよ。
『あの、本当に色々とありがとうございました。お口にあって良かったです。それでは…』
「ただいまー」
私が帰ろうとしたその時、ドアが開き男性の声が聞こえた。こここここれは、修羅場というものになってしまうのでは。
『え、えっと、わた、私、どこかに隠れた方がいいですか?…あ、クローゼットとか?』
「ぶふっ。そんな必要ないよ」
「え…どなた様ですか?」
ほ、ほら、完全に修羅場じゃんか…!これは切腹をした方がよほどマシだった可能性がある。やはり神様は味方じゃなかったようだ。1度しか味方してくれないみたいだ。ぴえん。
.
話を聞くと、ここは命の恩人さんの家ではなく職場、いわゆるオフィスと呼ばれる場所だったみたいで、ばったりと鉢合わせしてしまった初めましてさんがここの社長さんらしい。
『ていうか、伊沢さんじゃないですか…』
「あ、知っててくれたんですか?あざす」
そりゃ、テレビに出てらっしゃる有名人ぐらいは知っておりますよ…
『ということは、もしかして、ここはQuizKnockのオフィス…?』
「ピンポン!」
ま、まじか。私はそこで料理してたのか。もう最初で最後の経験したじゃん、私。この経験を生かしてこれからも頑張らなきゃ。と気を引き締めていると伊沢さんが食べ物の匂いに釣られたのか、私の作ったオムライスを口にしていた。
「ん、美味!え、なにこれ!」
「あぁ、この人が作ってくれたんだよ」
『は、はい、作りました。美味しいと言っていただけて光栄です…』
急に食べるからビックリしたけど。ていうか、同じスプーン…。だ、ダメだ、最近やっていた男性同士の恋愛ドラマがちらつく…いけない、そんな妄想をしてはダメだ私。
「ていうか福良さん、その人の名前も知らないで食べてたの?」
もう完全に私の作ったオムライスは伊沢さんのものと化していたら、そう呟いた。
『あ、申し遅れました、AAです…』
つい反射的に名前を名乗ってしまったが、そう言えば私の命の恩人さんは福良さんと言うのか、と今知った。
『…あ!今度こそ帰りますね!色々とご迷惑をかけてすみませんでした!では!』
頭を下げてTake2、と思ったら
「待ってAさん」
『はいっ』
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ちゃるちゃる(プロフ) - いろさん» ありがとうございます〜!これからも温かい目で見ていただけると嬉しいです! (2020年2月22日 16時) (レス) id: d523c3bebb (このIDを非表示/違反報告)
いろ(プロフ) - 続編おめでとうございます!楽しみにしてますっ (2020年2月21日 6時) (レス) id: 5fbef9d1c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃるちゃる | 作者ホームページ:
作成日時:2020年2月20日 17時