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「え、だってルーズリーフだったから」
堂々と読んでたけど逆に気づかなかったん?って鼻で笑われた。うう、解せない。今度からルーズリーフで書くのはやめよう。多分そこじゃないと思うけど。
「それ、どっかに出すん?」
『いや、ただの趣味で書いてるだけだし』
「え、もったいな。絶対出すべきやって」
『そんな才能ないし…』
「何で出す前から諦めてるん?出してみないと分からないっしょ」
キリッとした目にピアスを開けていてこのキツめな関西弁、なかなか怖い人だと思っていたけど意外にも初対面の人に熱く語る熱血な人だった。
『だって…』
「何が不安なの?1人じゃ無理なら俺も出来ることは手伝うし」
『じゃ、じゃあ…』
どうしてだろう、初対面の人にちょっと褒められただけなのにその気になってしまったのは。きっとこの人の真剣さに、騙されてみたいと思ったからかもしれない。
『少し考えてみるよ。でも、その代わり、このことは誰にも言わないでくれませんか…?』
「もちろん。元々誰かに言うつもりなんてないから安心して」
良かった、と心の底から安心した。この笑顔に嘘はないと感じた。これでカレーが美味しく味わえる。
「川上拓郎」
『んえ?』
「俺の名前」
『…あ、AA、です』
「ん、よろしくな」
『…何が?』
「コンクールとかに出すんなら、もっと見直した方がいいだろ?特にここ、書き出しはいいけどその後が弱いし」
『え、えっ?』
「やるからにはとことんやらんと。な?」
こうして2人で何度も校閲を繰り返す日々が始まった。なんとか締切日ギリギリで提出することが出来た。いきなり期限に追われすぎて、提出できただけで2人でガッツポーズをしたぐらい。でもこの川上との出会いが、私の人生を大きく変えたのだ。まさかここまで熱血とは思わなかったけどね。
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ちゃるちゃる(プロフ) - いろさん» ありがとうございます〜!これからも温かい目で見ていただけると嬉しいです! (2020年2月22日 16時) (レス) id: d523c3bebb (このIDを非表示/違反報告)
いろ(プロフ) - 続編おめでとうございます!楽しみにしてますっ (2020年2月21日 6時) (レス) id: 5fbef9d1c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃるちゃる | 作者ホームページ:
作成日時:2020年2月20日 17時