この情報はいくら? ページ37
今日は近道を通って帰っていた。
近道を通るには歩道橋を渡らなくては行けなかった。
階段キツイけどまあ頑張ろう。
重たい足を上げて歩いていたら向かいからとある女性のあとをつけている影を見つけた。
バタバタバタ、という音が聞こえた。
「嘘だろ…!」
歩道橋を降りようとした女性が後ろから押されて落ちてしまった。
慌てて俺は女性の元へ走った。
「大丈夫ですか!?」
救急車呼ばないと。スマホを鞄から取り出した手を止めるように握ってきた。
『いてて…大丈夫です。お兄さんのおかげで助かりました』
それじゃ、と立ち上がって去っていった女性。
え、本当に大丈夫なのか…?
犯人らしき人物はもう既にいなかった。
もうここにずっといても仕方ないし自分も帰ろう。
何かが引っかかるがその謎は解けないまま家に帰った。
.
次の日。オフィスでたまたまテレビを見ていたら速報が入った。
“速報です。女性が連続して暴行されていた犯人が只今逮捕されました。”
“これらは全て同一人物による犯行でした。ターゲットとされていた被害者女性には共通点があり、それは_____”
「え」
思わず耳を疑った。なぜなら、昨日の女性もこの共通点に含まれていたのだった。
しかし、問題はそこじゃない。
昨日確かに僕は階段から落ちたところを見た。だけど、昨日のことは全く報道されていなかった。
一体どういうことだ?
それに、どうやって犯人を特定できたんだ?
法学部としての血が騒いだ俺は、帰りにもう一度あの歩道橋に行くと決めた。
.
昨日と同じ場所に来たけど、案の定事件なんて起きてる素振りもなくて普通に人が行き来していた。
でも、確かに自分はここで昨日見たんだ。
あれは夢じゃなかったはずだ。
だけど証拠は何も無かった。
昨日の女性に会えればな…なんて都合よくいくわけもなく。
明日も早いし帰ろうとしたらまさかの彼女がいた。
「あの、昨日大丈夫でした?」
いざ彼女を前にすると何を話したらいいのかわからなくなってしまった。絶対これじゃないだろうと思いつつも言ってしまったからには引き返せない。
『ええ。お兄さんのおかげで』
彼女は昨日と全く同じ表情で、同じことを言った。
「俺、何もしてないけど…?」
『お兄さんのおかげでヤツの証拠を手に入れられたんです。お手柄でした』
そう言いながら彼女は本当の姿を現した。
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ちゃるちゃる(プロフ) - ミウさん» そう言っていただけてとても嬉しいです!特に同じ坂道ファンの方に言われると励みになります!これからも温かい目で見守っていただけるとありがたいです! (2020年1月30日 17時) (レス) id: d523c3bebb (このIDを非表示/違反報告)
ミウ(プロフ) - はじめまして!歌モチーフの話は好き嫌い結構あるんですけど、ちゃるちゃるさんのお話、すごい好きです!乃木坂欅坂日向坂、3坂道ファン(もはやオタク)なんですけど、あ!あの曲!ってなって嬉しかったです!これからも楽しみにしてますね〜 (2020年1月26日 22時) (レス) id: 67a060dbe8 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃるちゃる(プロフ) - すぺるさん» コメントありがとうございます!めっちゃ嬉しいです!!ご期待に添えるか分からないですが、続きをそのうち書くつもりなので、ぜひ待ってていただけると嬉しいです! (2019年10月13日 21時) (レス) id: d523c3bebb (このIDを非表示/違反報告)
すぺる(プロフ) - 危のお話めっちゃ好きでした〜!!!続きが見てみたいなと思いました…。 (2019年10月13日 17時) (レス) id: bc24737c16 (このIDを非表示/違反報告)
すぺる(プロフ) - ちゃるちゃるさん» ありがとうございます〜!僕も更新頑張ります…。ちゃるちゃるさんも頑張って下さい! (2019年9月21日 20時) (レス) id: bc24737c16 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃるちゃる | 作者ホームページ:
作成日時:2019年9月21日 13時