どんなあなたも【短編集】

猫系女子 ページ30

『編集終わりました〜！』

「お疲れさま」

休憩していいよ、と優しい笑顔で労わってくれる福良さん。
ああ、癒される。
お言葉に甘えてソファに座る。

「ねえそこ俺の場所なんだけど〜」

『知らなーい』

こうちゃんのことは無視。
あ、お菓子が置いてる。食べよっと。

「あ！俺のお菓子！」

『ありがとうこうちゃん』

「あげるなんて言ってない！」

これがいつもの光景だから、福良さん達はなにもツッコんで来ない。
こうちゃんもこうは言ってるけど別に怒っているわけではないし。

『はい。あげる』

「ありがとう、って俺のだけどね！」

ふふ、可愛いなあ。

私の方が一つ年下だけど、こうちゃんの方が弟に見える。
まあ、私はこうちゃんのことが好きなんだけどね。
出来れば彼氏になってほしいんだけど、好きなんて到底言えるわけもなく、いつも意地悪してしまう。
これが私なりの愛情表現だってこと、気づいてほしいんだけどなあ〜。



「A、見てこれ。可愛くない？」

そう言ってスマホを見せてきたこうちゃん。
スマホにはネットでバズッた犬の写真があった。

『可愛い』

「ホントに思ってる？」

『思ってるようるさいなあ』

こうちゃんがオーバーリアクションなだけだよ。
本当に可愛いなって思ったから言ったのに。





.




『そういう意味なんですね！流石伊沢さんですね。ありがとうございます』

「いーえ」

私は全然頭が良くないから、テロップを入れるのにも一苦労。
福良さんはP組で会議中で不在だったため、たまたま近くにいた伊沢さんに教えてもらっていた。


「Aちゃんってさ、こうちゃんのことどう思ってるの？」

『どうって、別に一番年が近い仲のいい人って感じですけど？』

別に言っても良かったのだけど、咄嗟に出たのは誤魔化しだった。

「そっか」

『何でそんなこと聞くんですか？』

「いや？いつもこうちゃんだけ態度違うからどうなのかなー？って思って」

『ついああいう態度取っちゃうんですよね。傷ついてました？』

「別に傷ついてはないと思うよ、こうちゃんのことだし」

そう言って笑う伊沢さんにつられて、私も笑ってしまう。

『仲が良ければ良いほど、塩対応になっちゃうんですよね』

「ほんと、Aちゃんって猫みたいだよね」

『そうですか？初めて言われました』

「こうちゃんも言ってたよ」

『ああ…そうですか』

「ほんと面白いわAちゃん」



まだ好きと言える日は遠いようです。

真面目＋元ヤン→←...

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す