ルナール ページ25
僕がいつも行くお気に入りのカフェバーがある。
昼間はカフェとして、夜はバーとしてお酒を扱う、意外とレトロな雰囲気のある隠れ家的な店だ。
一杯軽く飲みたい気分だったので夜になってから来た。
一人物思いにふけていると、着信が入った。
流石に店内では悪いと思って一旦外に出て電話に出た。
「もしもし。ああ、うん、そう。それで?…はぁ!?」
電話主は母親からだった。いつもいつも彼女はいないのか、とうるさく聞いてきてたから適当に流していたのが吉と出たらしい。
“彼女がいるならこっちに連れてこい。いないんだったら見合いをさせる”
勝手に日にちを決められてこの日に群馬に帰ってこいと言われた。
そんな無茶な…
彼女を連れて行かないと見合いをさせられてしまう。自分の未来は自分で決めたい。
でも今は彼女なんかいないし…ああ、どうしよう。
『中に入らないんですか?』
店の前で頭を抱えていたからか、女性に話しかけられた。やっば、はずい。
「すいません、入ります」
外にいたってしょうがない。とりあえず飲みかけのカクテルを飲み干そう。
どうぞ、とすんなりと先に入れてくれる。この人は店員さんなのか?
まぁいいや、と思って自分の席に戻ると、平然とした顔で僕の隣に座ってくるこの女性。
『マスター、いつものちょーだい』
「あ、あの?」
何だこの人。この感じだと店員さんではないようだ。でも、この頼み方、常連さんだよな…
色々と考えているとこっちを見てくる。
『お兄さん、悩みごとあるでしょ?その枝豆で良いよ。話聞いてあげる』
「は?」
一体何を言ってるんだ?でも、確かに悩んではいるけど、この人に話したってしょうがないだろ…
口を堅く閉ざしていた俺に痺れを切らしたのか、あーもう!と叫び始めた。
『じゃあもう言っちゃうね。お兄さん、彼女いなくて困ってるんでしょう?私、特別になってあげるよ』
「…は??」
何でそのことバレてんだ?後、何でこの人が自ら立候補してんの?
『お母さん、声大きくてめちゃくちゃ聞こえてたよ。盗み聞きとかじゃないからね?』
「え」
思ってること全部口に出てた?というぐらい心の声を読まれてしまっていた。怖い。
『あと、私はこういう者です』
そう言って女性は、名刺を出してきた。
…名刺じゃないじゃんこれ。チラシじゃん。チラシには、彼女代行サービスと書かれていた。
『私ここの指名No.1なんだよね』
そう言いながら彼女は俺が頼んでいた枝豆を食べた。
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ちゃるちゃる(プロフ) - ミウさん» そう言っていただけてとても嬉しいです!特に同じ坂道ファンの方に言われると励みになります!これからも温かい目で見守っていただけるとありがたいです! (2020年1月30日 17時) (レス) id: d523c3bebb (このIDを非表示/違反報告)
ミウ(プロフ) - はじめまして!歌モチーフの話は好き嫌い結構あるんですけど、ちゃるちゃるさんのお話、すごい好きです!乃木坂欅坂日向坂、3坂道ファン(もはやオタク)なんですけど、あ!あの曲!ってなって嬉しかったです!これからも楽しみにしてますね〜 (2020年1月26日 22時) (レス) id: 67a060dbe8 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃるちゃる(プロフ) - すぺるさん» コメントありがとうございます!めっちゃ嬉しいです!!ご期待に添えるか分からないですが、続きをそのうち書くつもりなので、ぜひ待ってていただけると嬉しいです! (2019年10月13日 21時) (レス) id: d523c3bebb (このIDを非表示/違反報告)
すぺる(プロフ) - 危のお話めっちゃ好きでした〜!!!続きが見てみたいなと思いました…。 (2019年10月13日 17時) (レス) id: bc24737c16 (このIDを非表示/違反報告)
すぺる(プロフ) - ちゃるちゃるさん» ありがとうございます〜!僕も更新頑張ります…。ちゃるちゃるさんも頑張って下さい! (2019年9月21日 20時) (レス) id: bc24737c16 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃるちゃる | 作者ホームページ:
作成日時:2019年9月21日 13時