... ページ17
「最近来ないね」
顔なじみの店長に話しかけられ、シャーペンを動かしていた手を止めた。
『あぁ…忙しいんじゃないですか？』
「なんか寂しそう」
『べ、別に寂しくなんかないですよ』
あれ以来、こうちゃんとは会えていない。連絡先も知らないから、カフェに来なければいつまでも会うことはない。
私としては、もう普通に接することが出来るんだけどな。
「こんにちは」
カラン、とカフェのドアが開いて入ってきたのはクイズ王さんだった。
『こんにちは』
「お隣良いですか？」
『も、もちろん！』
こうちゃんじゃなくて残念、と少し思ってしまったことは墓場まで持って行こう。ごめんなさい。
よいしょ、と隣に座るクイズ王さん。芸能人なはずなのに、私なんかの隣に来ちゃって大丈夫…？
「この間は失礼なことをしてしまってすいませんでした」
『えっ！？いや、頭を上げてくださいよ！全然気にしていないんで！謝らないでください！！』
まさかこんなことになるなんて。私の行動が改めて軽率だったことに顔を歪めてしまう。
「こうちゃんのこと、許してやってください。すごく責任感じてて…」
『え、そうだったんですか？全然許してますよ。っていうか、そもそも怒っていないんで！そう伝えといてもらえますか？』
「…どうせならご自分でお伝えした方が良いんじゃないですか？」
え。全て見透かされているような目で見つめられてしまい、焦る。
というか怖い。この目。思わず目を逸らしてしまう。
『連絡先知らないんですよ…』
「うん、知ってる。だから無理やりここを聞き出して俺が来たんだよ」
『え』
だから、の意味が分からない。しかも、無理やり聞き出したってどういうこと？
ここの場所、教えたくなかったってこと？どうして？
もしかして、なんて思ってしまうけど、絶対ないな。うん。
きっとここの雰囲気が好きなんだろう。あと美味しいし。お気に入りの場所を教えたくないってことだろうな。
自分で言い聞かせたくせに悲しくなってくる。イヤだなあ。
「勝手に連絡先を教えちゃうのもアレなんで、僕と代わりに交換しましょうよ」
『え？』
あれよあれよとクイズ王さんの掌で踊らされている感じに私の連絡先一覧にクイズ王の名が入った。
そしてあっという間に去っていった。
何ということだ。こんな簡単に一般人に教えちゃうもんなのか！というかこれだけのために来たの！？
私は呆然と立ち尽くしていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 166人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちゃるちゃる(プロフ) - ミウさん» そう言っていただけてとても嬉しいです！特に同じ坂道ファンの方に言われると励みになります！これからも温かい目で見守っていただけるとありがたいです！ (2020年1月30日 17時) (
レス) id: d523c3bebb (このIDを非表示/違反報告)
ミウ(プロフ) - はじめまして！歌モチーフの話は好き嫌い結構あるんですけど、ちゃるちゃるさんのお話、すごい好きです！乃木坂欅坂日向坂、3坂道ファン(もはやオタク)なんですけど、あ！あの曲！ってなって嬉しかったです！これからも楽しみにしてますね〜 (2020年1月26日 22時) (レス) id: 67a060dbe8 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃるちゃる(プロフ) - すぺるさん» コメントありがとうございます！めっちゃ嬉しいです！！ご期待に添えるか分からないですが、続きをそのうち書くつもりなので、ぜひ待ってていただけると嬉しいです！ (2019年10月13日 21時) (レス) id: d523c3bebb (このIDを非表示/違反報告)
すぺる(プロフ) - 危のお話めっちゃ好きでした〜！！！続きが見てみたいなと思いました…。 (2019年10月13日 17時) (レス) id: bc24737c16 (このIDを非表示/違反報告)
すぺる(プロフ) - ちゃるちゃるさん» ありがとうございます〜！僕も更新頑張ります…。ちゃるちゃるさんも頑張って下さい！ (2019年9月21日 20時) (レス) id: bc24737c16 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちゃるちゃる | 作者ホームページ：
作成日時：2019年9月21日 13時
