#6 ページ7
薄々は気づいていた。対策もイマイチ効果がなかったし、どうしようと思っていた矢先の出来事。泥沼化するぐらいならどちらかに転ぶしかないのだろうか、と。
でもまだ整理がつかなかった。せめて一日だけ欲しい。今の自分じゃ冷静な判断が出来ないんだよ、殺されかかったという事実も全然受け入れられてないんだ。
福良さんの提案に素直に頷いた俺はオフィスにそのまま一人泊まることにした。久しぶりの一人だけのオフィス。テレビも繋げられるから何ら不自由はないのだが、今はリモコンに手を伸ばすことさえ億劫だ。
代わりにスマホを手に取り、久しぶりに彼奴の名前をタップして電話をかけた。今、迷路の中にいる俺に、ヒントをくれる気がして。
『…もしもし』
「もしもし。川上？」
『どうしたんですか急に』
かつての大事な仲間であった彼──もちろん今でも大事な仲間であることに変わりはないが、別の地でも頑張っている彼にどうしても頼りたくなった。巻き込んでしまう可能性もあったけれど、きっと川上なら怒らないだろうと勝手に信じていた。
「俺さぁ…どうしたらいいのかわかんなくなって」
何処から伝えればいいのか、それすらも言葉に詰まってしまって、結局ふわふわとした言い方になってしまった。
『うーん……使える物は使っとこう、ってやつじゃないですか？』
それでも真剣に考えてくれて、自分なりの答えを出してくれる。しかもその答えが、結構俺には響く。
「川上はさ、一か八か賭けるしか手が残ってない状況の時、どうする？」
段々と言いたいことが形となって口から出てきてくれるようになった。またもや うーん、としばらく唸る声が聞こえた。
『俺なら賭けますよ。賭けてダメでもそれはその時ってことでしょうがないと思います』
「…そっか。」
やっぱそうだよな。リスクがあったとしても、方法があるならばやるしかないんだよな。
『何があったか知りませんけど、大丈夫ですよ。ダメならダメでそこから這い上がることの出来るメンバーしかいないでしょ』
「確かに」
ははっと笑うと控えめな笑い声が聞こえてきた。やっぱり川上に相談してよかった。きちんと今の俺には迷路の出口が見えていた。
「ありがとう」
『はい。また今度奢ってくださいね』
「はは、分かったよ」
この事件が無事に解決出来たら、その時はみんなで飲みに行こうな。電話を切ると同時に迷路からも脱出が成功したように気持ちも晴れやかになった。
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通りすがり - 何度もコメントすみません。やっぱりこの小説好きです！いくらでも待つので､続きを期待してもいいですか？ (3月15日 16時) (
レス) @page34 id: c971cc1ca3 (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - 作品の世界観が素敵で一話目からノンストップで読み続けてしまいました。続きがとても気になります。また、更新されることを願っております。 (2022年9月17日 23時) (レス) @page34 id: 766ff61372 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃるちゃる(プロフ) - トマトさん» ありがとうございます、、、！かなり更新ペースが遅いのですが、佳境に入ってまいりましたのでぜひ温かく読んでくださると嬉しいです！ありがとうございます！！ (2022年6月20日 12時) (レス) id: 05ff2dafb9 (このIDを非表示/違反報告)
トマト(プロフ) - コメント失礼します！作品の雰囲気がめちゃくちゃに好きでずっと読んでいられました！もっと早くに出会いたかったです……一読者として応援しています (2022年6月14日 19時) (レス) @page33 id: 44a1cdd5e5 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃるちゃる(プロフ) - 通りすがりさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！返信遅くなってしまってすみません！相変わらずマイペースすぎる更新ですが何卒よろしくお願いしますー！！！ (2022年3月1日 1時) (レス) @page28 id: 6736db345f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちゃるちゃる | 作者ホームページ：
作成日時：2021年11月18日 15時
