#4 ページ5
「Uターンします」
「え？」
「オフィスに向かいます」
朝に出勤したからもう今日はこのまま家に帰ろうと思ったがやめだ。今すぐオフィスに行かないと。
「ああ、そう」
「貴方もですよ」
「え。ミクにご飯をあげなきゃいけないのに」
「オフィスにまだあるでしょ。どんだけウチで預かってると思ってんの」
行きますよ、と彼女を見ないで言って歩き出す。すぐ後ろから足音がしてついてきていることを把握して安心した。
.
「あれ、伊沢…って、」
オフィスに入るなりすぐに声をかけてくれたのは福良さんだった。俺に続けて入ってきた彼女を見て驚いた。それもそうだ、あんなに毛嫌いしていた俺が連れてきているから。だが決して依頼をしたわけではないし、今のところするつもりもない。
「やあやあ福良青年〜しばらくぶりだねえ〜」
彼女もそれは分かっていて素直に来てくれて、明るく手を振った。
「どうしたのその傷。服もなんだか汚れてるし」
「え？そう？」
しかし観察眼の鋭い福良さんにはすぐにバレ、ミクはこっちに連れてくからとりあえず顔だけでも洗ってきなよ、と洗面所に向かわせていた。
────幸いにもオフィスには全員集合していた為、他の人達には聞かれないように撮影部屋で事情を話すことにした。ミクは乾たちと遊ばせて。
まずはAさんにこれまでの事情を説明し、その後今日の出来事について福良さん達に話した。
「さっきたまたま会って二人で途中まで帰ってたんだけど、急に車がやってきて轢かれそうになった」
ついに命までも狙ってきたと捉えていいぐらいに自体は深刻化していた。Aさんは我関せずといった感じに口角を上げて俺たちのことを黙って見ていたが。
「それで…」
「あ、ちなみに私は無傷だから心配するでない」
「何言ってんの服こんなに汚れとるのに」
「運悪く道が汚かっただけさ」
Aさんは軽く言うけれどそれは違う。あのスピードで不意に来られていたのだから気づけなかった俺は絶対に大怪我していたはずだ。彼女の傷と汚れは壮絶さを物語っていたのに、笑い飛ばして言うなんて。俺らは馬鹿じゃないからその事に全員気づいていた。
「どうすんの。よりにもよって今日はマネージャーさんがいない日だったんでしょ」
「てことは一人で行動したら危ないじゃん」
この事情を伝えたらきっと暫くは常時マネージャーがついてくれることになると思うけれど、正直あまり変わらないと思う。
「厄介だねぇ」
彼女がポツリと一言呟いた。それはまるで他人事ともとれる言い方だった。
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通りすがり - 何度もコメントすみません。やっぱりこの小説好きです！いくらでも待つので､続きを期待してもいいですか？ (3月15日 16時) (
レス) @page34 id: c971cc1ca3 (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - 作品の世界観が素敵で一話目からノンストップで読み続けてしまいました。続きがとても気になります。また、更新されることを願っております。 (2022年9月17日 23時) (レス) @page34 id: 766ff61372 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃるちゃる(プロフ) - トマトさん» ありがとうございます、、、！かなり更新ペースが遅いのですが、佳境に入ってまいりましたのでぜひ温かく読んでくださると嬉しいです！ありがとうございます！！ (2022年6月20日 12時) (レス) id: 05ff2dafb9 (このIDを非表示/違反報告)
トマト(プロフ) - コメント失礼します！作品の雰囲気がめちゃくちゃに好きでずっと読んでいられました！もっと早くに出会いたかったです……一読者として応援しています (2022年6月14日 19時) (レス) @page33 id: 44a1cdd5e5 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃるちゃる(プロフ) - 通りすがりさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！返信遅くなってしまってすみません！相変わらずマイペースすぎる更新ですが何卒よろしくお願いしますー！！！ (2022年3月1日 1時) (レス) @page28 id: 6736db345f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちゃるちゃる | 作者ホームページ：
作成日時：2021年11月18日 15時
