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#14 ページ15

「じゃあ一歩前進したって感じ?」


オフィスに着くなりすぐ皆にこの事を伝えると、少しほっとしたような表情を浮かべてくれた。俺も一緒になって微笑むと、視界に入る百合根さんは一日ぶりのミクと楽しそうに戯れていた。あんなんでもやる時はやってくれるんだもんな。


「でも完全に解決するまでは気を緩めちゃいけないよ」


空気がぴしゃりと張った。それもそうだ。なぜならあの時襲ってきた車については謎が解けていないから、またいつ現れるか分からない。次はかすり傷程度じゃ済まないかもしれないし。


「車の所有者は昨日捕まえた男のモノだった。あの日は風邪をひいて一歩も外に出ていなかったと言っている」


気づけば百合根さんは俺の隣に来ていて、これが証拠と言ってタブレットをテーブルに置いた。百合根さんはその男のSNSを特定していたようで、トントンとあるツイートを指さした。


「体ダルすぎしんどい……」


覗き込んだ山本がそのツイートを読んだ。投稿された時間を見るとちょうど俺と百合根さんが襲われた時間と合っている。


「このツイートされた場所も家だったことまで調べがついているので証言は正しいと言えまーす」
「抜け目がないねほんと」


昨日の今日でそこまで分かっているなんて。そりゃ苦笑いをしたくもなる。平然とした顔でこなしてしまうから彼女は恐ろしい。


「……だから車を勝手に使われたことには気づいていなかったのか」


深刻そうな顔をしたままずっと黙っていたこうちゃんが漸く口を開いた。その口調は重たく、一気に舵を元に戻され、俺たちにも緊張が走る。


────つまり、運転していた人物は別人物。そしてこの男が風邪をひいて一日中寝込んでいたのを知っていたから車を使ってもバレないと踏んでいたということ。


「どれだけ巧妙な手口なんだよ…」


まだこれは序章に過ぎない。皆が揃って頭によぎったことだった。

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通りすがり - 何度もコメントすみません。やっぱりこの小説好きです!いくらでも待つので、続きを期待してもいいですか? (3月15日 16時) (レス) @page34 id: c971cc1ca3 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 作品の世界観が素敵で一話目からノンストップで読み続けてしまいました。続きがとても気になります。また、更新されることを願っております。 (2022年9月17日 23時) (レス) @page34 id: 766ff61372 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃるちゃる(プロフ) - トマトさん» ありがとうございます、、、!かなり更新ペースが遅いのですが、佳境に入ってまいりましたのでぜひ温かく読んでくださると嬉しいです!ありがとうございます!! (2022年6月20日 12時) (レス) id: 05ff2dafb9 (このIDを非表示/違反報告)
トマト(プロフ) - コメント失礼します!作品の雰囲気がめちゃくちゃに好きでずっと読んでいられました!もっと早くに出会いたかったです……一読者として応援しています (2022年6月14日 19時) (レス) @page33 id: 44a1cdd5e5 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃるちゃる(プロフ) - 通りすがりさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!返信遅くなってしまってすみません!相変わらずマイペースすぎる更新ですが何卒よろしくお願いしますー!!! (2022年3月1日 1時) (レス) @page28 id: 6736db345f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちゃるちゃる | 作者ホームページ:   
作成日時:2021年11月18日 15時

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