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二日目。
「…どういうこと?」
朝、ドアを開けると別人が立っていた。自称百合根さんらしいが、セミロングほどあった髪はバッサリ切られてショートカットになっていて、服もクールに決めていてまさに男性にしか見えない。
「ボディーガードといえば男性でしょ?」
「今どき男女関係なくいるけど」
「そうだけれども、何かと男性のふりをしていた方が楽じゃん?撮られたら一発アウトってどこかで言ってたじゃないか〜」
よくもまぁどこかのイベントで漏らした本音を仕入れているなぁ。確かにスキャンダルを起こしたら信用問題に関わるから人一倍気をつけているけれども。
「……にしてもなんでミクまで?」
そう。ボディーガードと言うから彼女だけだと当然思っていた。だが扉を開けてみればしっかりと百合根さんに連れられ、大人しく座り、俺を待っているミクがいた。
「ミクは私の相棒。ボディーガードの相棒もボディーガードだろう」
「なんだその理論」
イコールで結べないだろ。確かに犬を連れていることでボディーガードには見えなくなっているが。……それが狙いならば大成功だろうけど。
「まぁあれだ。不審人物を見かけたらすぐに吠えて知らせてくれるから安心でしょ?」
それはそうかもしれない。特にミクは頭が良くて人間の言葉を理解していると思うほどきちんと言いつけを守ってくれる。誰よりも心強いかもしれない。とはいえ、だ。
「髪まで切らなくても」
「これはカツラだから安心せい」
…マジか。
.
何気ない話を交わしながらオフィスに着くと、無論皆に驚かれた。が、彼女特有の雰囲気で「今日からボディーガードをするんでよろしく〜」と言えば忽ち皆が頷き、男装も似合っているねなどの会話が繰り広げられた。
「伊沢も覚悟を決めたんだね」
山上たちと仲良く話している百合根さんを遠巻きに見ながら涼んでいると、河村さんは俺の隣に座って話しかけてきた。
「まぁ。実力があるのは認めざるを得ないし」
「そうなんだよね。俺も最初は怪しんでたけど、結果信じてみて良かったから」
やはり河村さんもすぐに絆されたわけではなかったのか。河村さんも自分なりに考えた上での行動だったことには俺も気づいていた。
「あ、そうそう。久しぶりに川上と電話したんすよ」
「へぇ?元気そうだった?」
「めちゃくちゃいつも通りだった。それに安心したんすよね。だから俺も覚悟を決めることが出来て。」
「良かったじゃん」
肩にぽんと手が優しく置かれて、山上に名前を呼ばれたと同時に微笑んで去っていった。
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通りすがり - 何度もコメントすみません。やっぱりこの小説好きです!いくらでも待つので、続きを期待してもいいですか? (3月15日 16時) (レス) @page34 id: c971cc1ca3 (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - 作品の世界観が素敵で一話目からノンストップで読み続けてしまいました。続きがとても気になります。また、更新されることを願っております。 (2022年9月17日 23時) (レス) @page34 id: 766ff61372 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃるちゃる(プロフ) - トマトさん» ありがとうございます、、、!かなり更新ペースが遅いのですが、佳境に入ってまいりましたのでぜひ温かく読んでくださると嬉しいです!ありがとうございます!! (2022年6月20日 12時) (レス) id: 05ff2dafb9 (このIDを非表示/違反報告)
トマト(プロフ) - コメント失礼します!作品の雰囲気がめちゃくちゃに好きでずっと読んでいられました!もっと早くに出会いたかったです……一読者として応援しています (2022年6月14日 19時) (レス) @page33 id: 44a1cdd5e5 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃるちゃる(プロフ) - 通りすがりさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!返信遅くなってしまってすみません!相変わらずマイペースすぎる更新ですが何卒よろしくお願いしますー!!! (2022年3月1日 1時) (レス) @page28 id: 6736db345f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃるちゃる | 作者ホームページ:
作成日時:2021年11月18日 15時