行為で好意に気づけ【Q|K】

君は多分魅惑的-fkr ページ6

1度寝ると睡魔がいなくなるまで死んだように眠る私。眠い中起きなくちゃいけないのは予定がある日だけ。それなのに何故だか体を揺すられて目を開けてしまった。当然目覚まし時計など鳴っていない。


「あ、起きたぁ」


目を雑に擦って体を起こすとふにゃっとした効果音が似合うような声が聞こえ、おはようA。と頼んでもいないクソ要らねえモーニングコールがきた。


「…なんで居んの？」


うわ、目やに付いてたんだけど。最悪だ。気づかれないようにそっと右目を隠して不気味な笑顔を私に向ける福良に問いかける。


「うん？Aとパズル一緒にやりたいなぁって思って」


いや理由になってないよそれ。つーか私昨日ちゃんと鍵かけて寝たんだけど？どうやって侵入してきたんだよ？
まだ寝ぼけていて働いていない頭では考えることは出来なかった。


「はい、A起きて〜。ご飯できてるよ」
「え、美味そうなんだけど」


ぐいっと力強くベッドから起こされただけでまず驚きを隠せず、そんな私を容赦なく洗面所に連れていきやがったので仕方なく歯を磨いて顔を洗った。
時計を見たら午前10時。おいおい、少なくともあと2時間は寝れたんだけど？と思いながらもきちんと用意された朝ごはんに目が眩んだ私は福良の術中に嵌っていたと思う。



「美味！」
「よかったぁ〜。サラダの盛り付け見よう見まねでやったからさ」
「食べたら分かんないしそもそも見てなかったよ」


一人暮らしの私、基本的に面倒臭がりだから料理はほとんどしないけれど実家から定期的に送られてくる段ボールの中に野菜が入っていて、どう使おうかなぁと思いながら冷蔵庫に入れていた子達が今こうやって美味しく私に食べられてるなんて、良かったなぁ君たち。


「…じゃなくて！」
「ん？」
「何で私の家にいきなりやってきて朝ごはんまで作ってんのよ！ただ隣に住んでるだけなのに！」


そう。私たちは別に恋人でもなんでもない。地方から上京した私が引っ越して近所へ挨拶しに行ったらこいつがいただけ。
こてん、と首を傾げて何を言っているのか分からない様子の福良。クイズ王なんだからこれぐらい分かってくれ。


「まず、どうやって家に入ってきたの？」
「鍵開けた」
「その鍵はいつどこで手に入れたんだよ」
「え、この前Aが自分で渡してくれたじゃん。覚えてないの？」


…もしかして知らないだけでもう1人の自分が勝手に暴走してるとかある？じゃないと見覚えがなさすぎて最早恐怖なんですが。

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