まだ名前の無いかたまり-ymmt ページ15
あざとymmtシリーズ-(サンタは隣に既にいた を先に読むと分かりやすいです)
今日の私は高校生に戻ったかのように緊張している。いや、当時の方がもっと心は軽かったと思う。
いつもより少し重たくなっている鞄を握りしめる手に力が入り、オフィスのドアを開ける前にふぅ、と深呼吸をする。
気合いを入れて一歩踏み出し、真っ先に黒色の思ったより大きめな靴が無いか探す。
「ある…」
ぴったりと揃えられて置かれている、ということはオフィスに既に居るということ。その事実を知って一気に鼓動が早くなって手汗が半端なくなる。
なんで今更になって青春みたいなことが起きているんだろう。それは遡ること24時間前───
「そのマフラー可愛いね」
「ありがとう〜職場の先輩に貰ったの」
唯一とも言える友達の家に遊びに来た私の首元を見て言ってきた。3月も下旬だが気温差は激しく、今日も明日もかなり寒いみたいでまだまだこのマフラーとも仲良くするつもりだ。
「クリスマスプレゼントに貰ってさ〜私もなにか返そうと思ってるんだけどタイミングなかなか無くて」
「バレンタインは?」
「あー、当日は休みだったから特にやってない」
今年のバレンタインは日曜日だった。特にオフィスに出向く理由もなかったし学校もなかったからチョコを作ることも買うこともしなかった。そもそもバイト先に持っていくのもどうかと思うしね。義理とはいえ。
「はぁ?!」
マフラーを取って上着を脱いで鞄の上に置いていると聞こえてきた大声。反射的に振り向くと即座に肩を掴まれた。
「今からでも遅くない。チョコ作るよ!」
「え?!」
この友達は1度決めたらなかなか聞かない奴だ。この服似合うよ!と言われた時だってそうだった。結局着替えさせられてそのまま買ってもらっちゃって、その格好で山本くんに会ったのもいい思い出だ。
確かに日頃の感謝はあるけれど、流石に1ヶ月以上経っているし今更チョコあげるのはあれじゃない…?しかも手作りって………。
山本くんは優しいからあげたら喜んで受け取ってくれるだろう。でも心の内ではなんて思っているか分からない。気持ち悪いとか、重たいとか、いきなりあげることになるから怖いとか思われちゃいそうで実は憂鬱。
「おはようAちゃん」
「お、おはよう、山本くん…」
それでも時間は経つし、朝はやってくる。一言声をかけてすぐに山本くんは仕事モードに切り替わっていた。あぁ良かった、分かりやすく動揺してしまったけれどマフラーで顔を半分隠していたおかげでバレずに済んだみたいだ。
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豪炎寺修也推し - ちゃるちゃるさん» いえいえ、気にしないでください^ ^その時はコさん推しだったんだと思います。今また箱推しに戻っていまして…笑 コさんとは出身が同じなんですよ!それ見て嬉しくなってるんです!これからも頑張ってください! (2021年5月17日 20時) (レス) id: 619493ea8b (このIDを非表示/違反報告)
ちゃるちゃる(プロフ) - お返事遅くなってすみません!涙 マシュマロもありがとうございます!コさん推しなんですね!一緒で嬉しいです!!笑 これからもよろしくお願いします! (2021年5月16日 17時) (レス) id: 6736db345f (このIDを非表示/違反報告)
豪炎寺修也推し - ちゃるちゃるさん» これからも見ますよ!ちなみに、28日についったの方で匿名で送らせて頂きました!でもついったログインできないので見れないのですが…。ちゃるちゃるさんに届けば!と思い、送らせて頂きました! (2021年4月30日 22時) (レス) id: 619493ea8b (このIDを非表示/違反報告)
ちゃるちゃる(プロフ) - ありがとうございます!素敵なお言葉で励みになります、、、マイペース更新ですがどうぞこれからもよろしくお願いします! (2021年4月29日 0時) (レス) id: 6736db345f (このIDを非表示/違反報告)
豪炎寺修也推し - コメント失礼します。ちゃるちゃるさんの作品を一気読みさせていただきました!この作品シリーズ、めちゃくちゃ好きです!更新待ってます! (2021年4月28日 20時) (レス) id: 619493ea8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃるちゃる | 作者ホームページ:
作成日時:2021年2月8日 17時