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「良かったじゃん!」
「いって、」
凄い力で思い切り肩を叩かれて我に返った。ちゃんとお礼も言えてないじゃん。何やってんだよ俺…!
「何も買わないなら邪魔なんで帰ってくれます?」
「はいはい分かりましたよ。じゃあ…チキン1つ」
「かしこまりました〜」
叩かれた場所を擦りながら財布をポケットから出す。まぁ…明日言えばいいか。それで今度は僕がりんごジュースを買って渡そう。
…なんて呑気なことを考えていたら彼女とは一切会うことが出来なくなってしまった。多分、嫌われたんだと思う。ほんと何やってんだ俺。
*
「健気ですねぇこうちゃんも」
「うるさいな」
あれから俺は毎日コンビニにやってきてはいつも買うお馴染みの物の中にりんごジュースも入るようになった。
…別に会えないか期待しているわけではないし、戒めのために買っているわけでもない。最近は寒くて乾燥してるから喉がよく渇くの。
「何でお礼すらも言えなかったんだろ…そりゃ嫌われるよなぁ」
「え?別にそれぐらいじゃ嫌われないでしょ」
鼻で笑ってテキパキと作業をする。なに、今日は凄い喋ってくれるじゃん。いいことあったの?その幸せ少し分けて欲しいぐらいだよ。
「大丈夫ですよ、だってこうちゃんが買ってるのを見て自分も買ったって言ってたじゃないですか」
「それはそうだけどさ…」
「来れないのは事情があるんですよきっと!」
だから元気出してください!と言われてレジ袋を受け取った。伊沢さんや福良さんから頼まれたガムなどのお菓子が沢山入ってるからめちゃめちゃ重たい。ジャン負けしたから仕方ないんだけど。
まぁでもそうだな。俺だって買うようになったのはあの子がいつも持ってたからだし。今日もどこかで飲んでるのかな、そうだといいなと思いながらコンビニを出た。
「あー、疲れた…」
今日も一日頑張ったなぁ、と自分に言い聞かせて暗くなった帰路に就く。そういやバタバタしていて飲むの忘れてたんだっけ。ポケットから出てきた赤色のパッケージを見つめる。
「ま、いっか」
期限は過ぎていないし別に明日飲めばいい。もう一度ポケットに戻して歩く。
「──だからそれは明日までにやりますってば」
帰る途中にぽつんと一つだけ置いてあるベンチに人が座っていた。そこから聞こえてきた声は初めて聞く声ではなかった。
「どうぞ」
顔を見なくても分かった。だから俺は1歩ずつ近づいてポケットからそれを取り出した。
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豪炎寺修也推し - ちゃるちゃるさん» いえいえ、気にしないでください^ ^その時はコさん推しだったんだと思います。今また箱推しに戻っていまして…笑 コさんとは出身が同じなんですよ!それ見て嬉しくなってるんです!これからも頑張ってください! (2021年5月17日 20時) (レス) id: 619493ea8b (このIDを非表示/違反報告)
ちゃるちゃる(プロフ) - お返事遅くなってすみません!涙 マシュマロもありがとうございます!コさん推しなんですね!一緒で嬉しいです!!笑 これからもよろしくお願いします! (2021年5月16日 17時) (レス) id: 6736db345f (このIDを非表示/違反報告)
豪炎寺修也推し - ちゃるちゃるさん» これからも見ますよ!ちなみに、28日についったの方で匿名で送らせて頂きました!でもついったログインできないので見れないのですが…。ちゃるちゃるさんに届けば!と思い、送らせて頂きました! (2021年4月30日 22時) (レス) id: 619493ea8b (このIDを非表示/違反報告)
ちゃるちゃる(プロフ) - ありがとうございます!素敵なお言葉で励みになります、、、マイペース更新ですがどうぞこれからもよろしくお願いします! (2021年4月29日 0時) (レス) id: 6736db345f (このIDを非表示/違反報告)
豪炎寺修也推し - コメント失礼します。ちゃるちゃるさんの作品を一気読みさせていただきました!この作品シリーズ、めちゃくちゃ好きです!更新待ってます! (2021年4月28日 20時) (レス) id: 619493ea8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃるちゃる | 作者ホームページ:
作成日時:2021年2月8日 17時