インクの切れたボールペン【Q|K】

甘い転がる赤-wtnb ページ36

塩っぱさに乗る-fkrと同じ世界線


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　特にいつもと変わらない平日、昼休憩になると私は必ず2つ先のコンビニへ行く。

　…あ、やっぱり今日もいる。

　入口の自動ドアが開いてすぐに見つけた少し猫背な男の人。名前は知らないし顔もちゃんとは見たことの無いけれど大体いつも見かける。
　チキンだから話しかけるなんてことはしないため興味ないフリをしておにぎりコーナーまで一直線に行く。

　んー、今日はわかめおにぎりにしようかな。その日の気分で選んだものを手に取ってレジに──行く前に少し手前で止まる。
　私はこのコンビニに来たら必ず紙パックのりんごジュースを買う。安くて美味しいからとても気に入っている。昼の時間帯に一気に売れるのか、バイト終わりの夕方から夜に来ると既に売り切れていることが多い。


　そしてレジに並ぶと私の前にはさっきの男の人。
　彼の手にはオレンジジュースが握られている。私の気に入っているりんごジュースと同じメーカーの物で、隣に陳列されている物。
　この人、いつもオレンジジュース買うんだよな。だから勝手に“オレンジくん”なんて心の中で呼んだりしている。

　真後ろに立つと分かる大きな背中。でもやっぱりちょっと背中は丸い。
　オレンジジュースも美味しいだろうな、でも私はりんごジュースの方が好きなんだよな。


「次の方どうぞ」
「あ、はい」


　なんて思っていたら呼ばれてしまった。
　タイミング的にオレンジくんと隣のレジで会計することに。チラッと目を盗んで見てみるが横顔しか見えない。
　目が大きいな、肌白いな、てか肌綺麗だな。とか勝手にコメントをしていると彼は軽く店員さんに会釈をして帰って行った。
　そして遅れること2分後、私も会計を済ませてコンビニを出た。これがいつもと変わらない日常である。

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