赤色、朱色、紅色-kwmr ページ26
今日はきっと街は賑やかで鈴の音が聞こえるだろう。赤い服を着た人が多いだろうし柊なんかも身につけていたり。そんな中私は家で寝そべっている。
「はぁぁぁ最悪！」
スマホを雑に放り投げてイライラをぶちかます。頭もお腹も痛くてどうしようもなくて物に当たる。
やけに晴れている太陽光が眩しくてカーテンを閉めたいけれど生憎今は動けないし動きたくない。こんな些細なことでも更に怒りが募っていく。
本当は私だって今日は楽しい日になるはずだったんだよ。何が悲しくて家にいなきゃいけないんだよ。1人で寂しいし。
…う、またお腹痛くなってきた。薬まだ効かないの？毛布にくるまって縮こまっていると足音がやってきた。
「え、拓哉くん！なんで？今日仕事だったんじゃないの？」
ガバッと起き上がると出勤していたはずの大好きな彼が帰ってきていた。
拓哉くんは外が余程寒かったのかマフラーに手袋に分厚いコートとバッチリした防寒具を身にまとっていた。
「早めに切り上げてきた。Aが心配だったし」
「え、好きなんだけど」
「知ってる」
手袋を外して頭をぽんと撫でてくれた拓哉くんはコートを脱ぐために立ち上がった。本当は私がハンガーを持ってきて掛けてあげたかったんだけどな。ただじっと拓哉くんを見つめることしか出来なかった。
*
「マジでタイミング悪すぎな件」
「そうだね」
「何が聖なる日だよ、血祭りなんてクソ喰らえ」
「口が悪いなぁ」
「言いすぎました」
「素直でよろしい」
拓哉くんが入れてくれたホットココアを飲みながらやるせない思いを口にする。もはや愚痴だけど。
「まぁクリスマスは毎年来るじゃん」
「そうだけどさ、今年のクリスマスって今日しかないんだよ？」
「今日はイブだけどね」
「細かいことはいいの〜！」
面倒くさいことを言っているのは重々承知。誰も悪くない、このやるせない気持ちをどこかにぶつけないとやっていけないのだ。本当にごめんね。
だけど拓哉くんは変わらず優しい眼差しで私を見た。
「じゃあ来年のイブは栃木に行こうか」
「いいけど、」
来年も一緒に居られることが確定している言い方でとても嬉しいし、あまり外に出たがらない彼の方から遠出を持ちかけてくるなんて最高すぎだけど、なんで栃木？
思っていることが全部顔に出ていたのか、私が聞く前にニヤリと笑って言った。
「だってうちの親に紹介したいじゃん、Aのこと」
「は、……」
栃木と言われた時点で気づくべきだった。してやったりな顔をしている彼がムカつくほど愛おしい。だからさ、来年じゃなくて来週にしない？
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緋歌梨(プロフ) - ちゃるちゃるさん» いえいえ！ (2020年12月30日 22時) (
レス) id: ef32365840 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃるちゃる(プロフ) - 緋歌梨さん» そうなんですね！知らなかったです。教えて下さりありがとうございます！ (2020年12月30日 22時) (レス) id: 6736db345f (このIDを非表示/違反報告)
緋歌梨(プロフ) - コメント失礼します！みかんの白い筋は､アルベドって言うんですよ！ラテン語で“白さ”という意味です！このコメントはスルーしていただいても構いません｡お節介ですいません… (2020年12月29日 20時) (レス) id: ef32365840 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちゃるちゃる | 作者ホームページ：
作成日時：2020年11月9日 17時
