ページ ページ24
「須貝さんもしてくれば良かったのに」
「俺のは罰ゲームだったの。もう終わったし」
「えー何で入れ違いなのー」
須貝さんが頭がいいこともYouTubeやテレビにも出ている有名な人だというのも知っている。それでもこんな風に言い合える関係が楽しくって、実は須貝さんが来てくれるのとっても嬉しいんだよね。
そういえば、須貝さんってクリスマス予定あるのかな。あーでも平日だし普通に仕事とかありそう。てか彼女いるのかな?って、なんでそんなこと考えてるんだろ。
「Aちゃん」
「はい!」
ちゃんと仕事しなきゃ、と心の中で意気込んだその時 店長に名前を呼ばれた。
「そういえば、来週のシフトどうする?」
「あー…」
そうだ、忘れてた。これ以上延ばしてもらうわけにもいかないし、多分延ばしたところで変わらない。
でもなあ、なんか嫌なんだよなあ。
「後で宜しくね」
黙っていると他のお客さんに呼ばれて店長はそっちに行ってしまった。
タイミングが良かったと言えるのかは定かではないが、とりあえず小さく はい、と返事をして5分前に帰って行ったお客さんのテーブルを片付け始めた。
「ね、来週のシフトまだ出してないの?」
「うん」
とは言っても須貝さんの座っている席の隣のため、コソコソっと須貝さんは普通に話しかけてくる。
「なんで?」
それは簡単に投げかけられてしまい、片付ける手を止めてしまう。
…まぁ、別に須貝さんなら言ってもいっか。周りを見て店長が近くにいないことを確認して小声で話す。
「クリスマスにバイトのシフト入れるの、なんか嫌でさ〜。でもどうせシングルベルだから、金を稼いどいた方がいいのも分かるんだけどね」
あと15分ぐらいしたら抵抗も虚しくバイトで埋まるんだろうな。未だに無言の須貝さんに向かって ははっ、と笑ってみせるとバチッと目が合った。
「──じゃあ、既成事実作っちゃう?」
「え?」
ふわりと微笑んだ須貝さんの頭にサンタ帽が乗っているように見えた。
「偶然俺もさ、この日仕事行きたくないんだよね。でも俺もシングルベルでさぁ…」
スマホを置いて頬杖をつく須貝さん。私はこの後に発する言葉を予想することが出来ない。
「俺と予定埋めちゃおうよ」
しっかりと私の瞳を捕らえて離さない。私は一刻も早く逃げたいのに。
「………店長!私、クリスマスにバイト入れなくなりました!」
分かったよと呆れた声と、元気がええなぁという優しい声に囲まれながらスマホの予定表を埋めた。
201人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
緋歌梨(プロフ) - ちゃるちゃるさん» いえいえ! (2020年12月30日 22時) (レス) id: ef32365840 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃるちゃる(プロフ) - 緋歌梨さん» そうなんですね!知らなかったです。教えて下さりありがとうございます! (2020年12月30日 22時) (レス) id: 6736db345f (このIDを非表示/違反報告)
緋歌梨(プロフ) - コメント失礼します!みかんの白い筋は、アルベドって言うんですよ!ラテン語で“白さ”という意味です!このコメントはスルーしていただいても構いません。お節介ですいません… (2020年12月29日 20時) (レス) id: ef32365840 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ちゃるちゃる | 作者ホームページ:
作成日時:2020年11月9日 17時