シングルベル-sgi ページ23
「え、マジ？！」
バイトの休憩中、私は後輩ちゃんからのカミングアウトに声を上げた。
2日前に晴れて好きな人と結ばれたんです、と照れくさそうに後輩ちゃんは報告してくれた。
「それでなんですけど…クリスマス、バイト休んでもいいですかね？」
店長の元に駆け寄って申し訳なさそうに聞く姿を斜め後ろから見つめていた。
バイト先はお洒落なカフェで、クリスマスは結構賑わう。優秀な店員が一人減ってしまうのは仕方がないが、こんなに幸せそうな顔をしている後輩に接客はさせられないだろう。
「デート、楽しんできな」
「ありがとうございます店長！」
快く受け入れた店長にこれでもかと目を輝かせる後輩ちゃん。マジで楽しんできな、それが君の宿題だよ。なんてね。
「Aちゃん」
「え、」
ルンルン気分で休憩室から後輩ちゃんが出ていき、残った私は店長と目が合った。
…待って、私 クリスマスにバイトはしたくないな。
「…シフト出すの、ギリギリでも良いですか？」
「もしかして、予定埋まるかもしれないの？」
「もしかしたら、かもです！」
多分そんなことは無いのだけど、なんだか聖なる日にバイトは乗り気じゃなくて今すぐには返事をしたくなかった。
無謀なお願いにもかかわらず店長は優しく微笑んで「分かった。シングルベル回避出来るといいね」と言ってくれた。でもごめんなさい、そんな簡単には回避できないと思うんですよね…。
*
「ありがとうございましたー！」
会計を済ませたお客さんを見送り終えるとふと目に入ったカレンダー。ちょうど1週間後が12月の一大イベント、クリスマスである。
結局シングルベルは回避出来そうにないなぁ、と諦めの溜息をつくと同時にカランと音が鳴ってドアが開いた。
「あれ、サンタ帽被ってないの？」
「おいおい。第一声がそれ？」
あぁ、いらっしゃいませ。とついでに言うと「店長、教育がなってないんじゃない？」と全然怒っている感じもなく言いながらカウンター席に座ってきたこの人はナイスガイこと須貝さん。
「外寒いわ」
「でしょうね。はい、メニューです」
年齢的にも立場的にも全て彼の方が上なのだが、気づいたら対等に接するようになっていた。
「サンタ帽似合ってるじゃん」
「お世辞いらないよー」
「嘘じゃないって」
店長に注文を伝えたのか暇になった須貝さんが私に絡んできた。今日から1週間は店員も皆クリスマスっぽくしようということでサンタ帽を被って接客をしている。
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緋歌梨(プロフ) - ちゃるちゃるさん» いえいえ！ (2020年12月30日 22時) (
レス) id: ef32365840 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃるちゃる(プロフ) - 緋歌梨さん» そうなんですね！知らなかったです。教えて下さりありがとうございます！ (2020年12月30日 22時) (レス) id: 6736db345f (このIDを非表示/違反報告)
緋歌梨(プロフ) - コメント失礼します！みかんの白い筋は､アルベドって言うんですよ！ラテン語で“白さ”という意味です！このコメントはスルーしていただいても構いません｡お節介ですいません… (2020年12月29日 20時) (レス) id: ef32365840 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちゃるちゃる | 作者ホームページ：
作成日時：2020年11月9日 17時
