インクの切れたボールペン【Q|K】

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11月28日はフランスパンの日で、オンシジュームとエゾギクとサンダーソニアが誕生花。
結構芸能人にも同じ誕生日の人がいて、マツケンサンバが有名な松平健さんとか、新語・流行語大賞にノミネートされた 2位じゃダメなんですか？を言った蓮舫さんも今日が誕生日らしい。

ね、私すごい調べてるでしょ？まぁ、そんな素振り1つも見せてないから君は知らないだろうけど。


「こうちゃんのお母さん、いつもこうちゃんのことを産んでくれてありがとう！」
「おい、いつもは産んでねぇよ」

私のあげたプレゼントに喜んでもらえて、嬉しくなって1杯だけ頼んだお酒で気分がハイになってしまった私は解放されてつい調子に乗った。
この調子で好きだと言えたらいいんだけど、やっぱチキンが発動しちゃって無理だった。


「ねぇA」
「ん？」
「サンタンって知ってる？」
「あぁ…英語で日焼けって意味でしょ」

それぐらい知ってるよ、と言おうとしたけれど言えなかった。ニヤニヤしているこうちゃんを見てやられたと思った。

「A 英語苦手なはずなのによく知ってるね？」
「そ、そりゃ…」
「サンタンって色、俺の誕生色なんだよねえ」

それを言われたら黙るしかなかった。だって11月28日について調べて知ったんだもん。

「じゃあ、サンタンの色言葉知ってる？」

えっと、確か……

「やってみなきゃ、始まらないよ」

そう、それだ。まるで自分のことを言われているみたいでドキッとしたんだ。
ずっと自分から目を逸らしていたけれどつい惹き込まれるように目を合わせてしまった。


「俺、知ってるよ」


その言葉に全て含まれていることが分かった。寧ろ、気づいてないと思い込んでいたのは私だった。向こうの方が1枚上手だった。

「…いつから？」

私は負けを認めて聞いた。すると待ってましたと言わんばかりに微笑んだ。

「顔に出やすいよね」
「マジか」
「あとは…前にスマホの画面ちょっと見えちゃって」
「…マジか」

それ以上は言わなかったけど、多分検索履歴の羅列を見てしまったんだろう。こんだけ11月28日知識だけ増やしてるんだもんね。お手上げすぎて笑えてきてしまった。




「──好きだよ」
「やっと言ってくれた」


全部お見通しなら白旗をあげるしかないでしょう。ふっ と満足気に笑って、俺も好きだよ と続けて言った。

そういやサンタンの色言葉にはもう1つあったね。それは…


チャレンジしてみよう fin.

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