インクの切れたボールペン【Q|K】

抹茶の変-ymmt ページ44

あざとymmtシリーズ



私の朝はアラーム音で目覚めてから始まる。面倒くさいから初期設定のままのアラーム音を止めて起き上がる。
朝は食べない派だから水だけ飲んで用意する。通勤電車の中でSNSを流し見してオフィスに向かう。


「抹茶ラテとか相変わらずあざといな」


昨日投稿されていた山本くんのストーリーズを見て独り言を呟く。ちょうど見終えたタイミングで降りる駅に着いたのでスマホを閉じた。




「おはようございます」


既に出社している先輩たちに挨拶をして自分のデスクに荷物を置いてキッチンに直行。
一目惚れして買った水色のマグカップを取り出して仕事のお供となる飲み物を注ぐ。ここまでが私のルーティーン。
私は甘いものが好きだから大体飲むのはラテ系。その日の気分で変えてはいるもののお気に入りは紅茶──なのだが、今日は無意識に抹茶ラテを選択していた。
絶対山本くんのあの投稿に影響受けたわ。注がれた淡い緑色を見つめながらデスクに戻った。



「おはよAちゃん」
「おはよう山本くん」


猫舌だから冷ましながら少しずつ抹茶ラテを飲んでいると山本くんがやってきた。


「あれ、抹茶飲んでる」


うわ気づくの早すぎる。まぁね、とだけ言ってパソコンへと向きを変えた。こういう時の山本くんって色々と鋭いからさっさと防衛しとかなきゃいけないのだ。


「抹茶ラテはスイーツのお供だって前言ってたのに」
「今日はそういう気分だっただけ」


確かにスイーツと一緒に飲む方が美味しいから作業する時は選ばない。
素直に言えたら良かったけど山本くんがニヤニヤ笑ってるから言いたくなくなった。絶対弄ろうとしてるじゃん。だからこれは防衛です。



「──ねぇ、もしかして僕が昨日載せたから？」



私の机に手を置いて至近距離まで近づいて顔を覗き込んできた。


「…違うから！」


全力で否定してパソコンを持って別の部屋に逃げ込んだ。危ない、なんだあのあざとすぎる人間は。
どうせ今頃「Aちゃん逃げちゃったー」とか言いながら笑ってるんでしょ。知ってるよ。分かるもん山本くんのことだから。もう絶対明日から抹茶ラテは飲まないって決めたんで！



「ほんと可愛いなぁAちゃん」

「明日からはほうじ茶ラテを飲むって今からメモしとこ」



..
ymmtさんのストーリーズを見て書いた話(をここまで温め続けていた)

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