今年は例外-wtnb ページ21
騒がしくなり始めた街。鈴の音がよく聞こえる音楽が流れている。チラリと横を見ると“メリークリスマス”と書かれたポスターが沢山貼られている。
なにがメリークリスマスだ。メリーには楽しいとか愉快なとかいう意味があるけれど俺は全然楽しくない。
初めてできた彼女に振られたのがちょうどクリスマスだったし、大体クリスマスの時期はいつも暇だったからいつも強制でバイトのシフト入れられてたし、あの子と離れ離れになったのも───。
まぁとにかく、リア充には最高の日かもしれないけど非リアにとっては最悪の日なんだよ。
“サンタさんにお願いごとをしよう”
いくつも並んでいるポスターの中でも一際目を引いたそれに書かれていた言葉。
思わず立ち止まってしまってそのポスターを見つめる俺が反射してうっすらと映る。
…そうだなぁ。もし願いを叶えてくれるなら。
「もう一度初恋の人に会いたいかな」
ま、無理だろうけど。
言霊を信じるわけではないけど気づいたら声に出していた。ははっと俺は笑ってマフラーに顔を埋め、ポケットに手を入れてまた歩き出した。
*
小学生の頃、近所に住んでいた1つ年下の女の子がいた。元気な子でいつも笑顔ではしゃいでいた。その子が俺の事を1番初めに“こうちゃん”って呼んでくれたっけ。
「こうちゃんこうちゃん！サンタさんに何をお願いした？」
「俺はね、仮面ライダーのベルトが欲しいってお願いしたよ！Aちゃんは？」
「私はねー、プリキュアになりたいってお願いした！」
「えー？プリキュアになれるの？」
「なれるもん！絶対なってやるもん！」
「はは、そっか」
じゃあ25日に一緒にプレゼントを開けよっか！と2人で約束したのに。
「え…？」
その1週間前、急に引越しが決まったらしく僕らは離れ離れになった。結局サンタさんから貰ったプレゼントは1人で開けることになったし、欲しかったベルトは貰えなかったし苦い思い出だ。
だけど後になって気づいたんだ。多分俺はあの子のことが好きだったなって。こうちゃんって元気よく呼んでくれる彼女が横に居ないことに寂しさを感じたんだ。
「お兄さん危ないよ」
「え？…うわ、」
突然現実に戻ったと思ったら後ろからやってきた自転車に気づかず転びそうになってしまった。
「ちゃんと周り見て歩かなきゃ」
「すいません…」
通りすがりの人に喝を入れられ少し反省。初恋を忘れられないなんてマジで女々しいな、俺。
「お兄さん、クリスマス嫌いなの？」
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緋歌梨(プロフ) - ちゃるちゃるさん» いえいえ！ (2020年12月30日 22時) (
レス) id: ef32365840 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃるちゃる(プロフ) - 緋歌梨さん» そうなんですね！知らなかったです。教えて下さりありがとうございます！ (2020年12月30日 22時) (レス) id: 6736db345f (このIDを非表示/違反報告)
緋歌梨(プロフ) - コメント失礼します！みかんの白い筋は､アルベドって言うんですよ！ラテン語で“白さ”という意味です！このコメントはスルーしていただいても構いません｡お節介ですいません… (2020年12月29日 20時) (レス) id: ef32365840 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちゃるちゃる | 作者ホームページ：
作成日時：2020年11月9日 17時
