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「……Aは誰のことも分かってるの？」
『うーん、まぁ大体は』
急に元気がなくなったように見えるこうちゃん。そっか、と小さく呟き、具合でも悪くなってしまったのかと顔を覗き込んだ。そうしたらバチッと視線があった。
「俺がどうしてAと一緒にいるか分かる？」
『え、そんなのご飯食べてるからでしょ？』
一体何を言い出すのやら。酔いすぎておかしくなったのだろうか。そろそろお開きにした方がいいのかもと思いながら箸を進めていると、はぁというため息が聞こえた。
「Aって自分のことになるととことん鈍感だよね」
『え？私が鈍感？』
「そうだよ、俺だってなんとも思ってない人と週一ペースでご飯に誘わないから」
『え…』
目を見開いて驚いてる私にゆっくりと近づき、いとも簡単に唇を奪った彼の顔は、初めて見る顔だった。
「どう？少しは俺のこと意識してくれた？」
そう言って余裕そうに笑う彼に、言葉が上手く出てこなかった。
──分かりやすく、意識してしまった。
私は今までずっと、傍観者として人の恋路を見守ってきていた。だから自分に向けられている好意に、全く気づけていなかった。
それにしたって、分かりにくいよ。山本さんや伊沢さんを見習いなって。言っちゃ悪いけど、ご飯に誘うなんて初手もいいとこじゃない。
…と思ったらこれなわけ？いきなりキスするなんて、ギアを飛ばしすぎ。
だけど、こうちゃんの顔がみるみる内に赤くなっているのを見ちゃったもんだから、あぁ慣れないことをしたんだなって要らないところで理解した。
『こうちゃん、めっちゃ、意識したよ』
「えっ……？」
せっかく勇気をだして伝えたのに、予想外みたいな驚き方。私も鈍感なら、こうちゃんも鈍感だね。
『私たち、似たもの同士かも』
「……かもね。」
くしゃりと笑って頷いてくれたこうちゃんを見て、あ、その笑顔、好きだ。って思ったことはいつか気づいてくれた時に言うことにする。
..
ymmtさんの話はあざとシリーズ、izwさんの話はこちらシリーズ(名称特になし)と同じ世界線です。
See if I care. ymmt→←聡いか疎いか wtnb
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ちゃるちゃる(プロフ) - わたぐもさん» わわ！ありがとうございます！！ギャップが大好きでして、そう言っていただけてとても嬉しいです！！ (2020年9月10日 17時) (
レス) id: 6736db345f (このIDを非表示/違反報告)
わたぐも(プロフ) - 新作のこうちゃんのお話どストライクすぎました…… (2020年9月10日 2時) (レス) id: 22632e30cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちゃるちゃる | 作成日時：2020年8月3日 16時
