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『……あ』
そろそろ河村さんが降りる駅だと思い隣を見ると、気持ち良さそうに眠っていた。
そういえば、河村さんが寝ているところを見るのは初めてかもしれない。いつも私の寝顔は見られているけれど今日は逆かと思うと新鮮で嬉しい気分。
じーっと見つめてみても全く起きる気配のない河村さん。相当疲れているのかもしれない。
ただこんなに見つめることが出来るのも貴重なので、これでもかとガン見してやる。好きな人の寝顔って最高じゃん。
『河村さん、起きてください』
だけどそろそろ起こしてやらねば私のように寝過ごしてしまうことになると思い、軽く肩を揺すってあげる。
するとすぐに目を開けて起きてくれた河村さん。
眠り姫を起こす感じってこうなんだ。初めて味わった感覚に笑みがこぼれてしまった。
「…なに笑ってるの」
『え、笑ってました？』
頬っぺたをむにむにと自分で触っていると変な顔、と目を細めて笑われた。だって、好きな人を起こすのってこんなに幸せなんだなって思ったら、顔もにやけちゃうでしょう。
「嬉しそうだね」
『えへ、初めて河村さんのことを起こすことが出来たので』
「おめでたいやつだね」
馬鹿にされた言い方なのはすぐに分かったが、それでも気にしない。だって、好きなんだもの。より好きが溢れてしまって止まらない。
「A、うるさいよ」
『え、喋ってませんよ？』
「そうじゃなくて、顔が」
『顔？』
顔がうるさいなんてどういうことだ。顔ばっかしは鏡でも見ないと気づけない。でもこんなことで河村さんには嫌われたくない。
そしてこのタイミングで河村さんが降りる駅に着いてしまった。
「うーんそうだな…休憩中の居眠りをなくしてくれたら、付き合ってあげるよ」
『……えっ？』
電車のドアが開く。
けど河村さんは私を見つめたまま動こうとしない。
「眠り姫の面倒は疲れるんだよね。癒されるけど」
じゃあまた明日ね、と言って電車を降りて行く。
『き、休憩中は、寝ないようにします……っ！』
私は立ち上がって背を向けた河村さんに向かって叫んだ。
驚いて振り返る人の視線が突き刺さる。でもそんなこと気にしてる暇がないほど私は河村さんしか見れない。
河村さんはふっと笑って手を振ってくれた。だけどそのまま電車のドアは閉まってしまった。
私、AAは眠り姫を卒業します。大好きな河村さんと付き合うために！
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ちゃるちゃる(プロフ) - わたぐもさん» わわ！ありがとうございます！！ギャップが大好きでして、そう言っていただけてとても嬉しいです！！ (2020年9月10日 17時) (
レス) id: 6736db345f (このIDを非表示/違反報告)
わたぐも(プロフ) - 新作のこうちゃんのお話どストライクすぎました…… (2020年9月10日 2時) (レス) id: 22632e30cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちゃるちゃる | 作成日時：2020年8月3日 16時
