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ポケットに入れていたスマホが震えた。通知の欄には新着動画。イヤホンを付けてタップしてみると、須貝さんがいる。それだけで私の心は癒された。
『！』
15分程度の動画を見終えてイヤホンを外すと、目の前に大きな人影が立っていた。
怪しくて、私はいつでも逃げれるように荷物をゆっくりと握って顔を上げた。
「や、あの…」
目の前の彼は下を向いていて顔が見えなかった。けど彼も何故か慌てて固まっている。
『え……、』
顔を覗き込んで目を合わせてみたら、今度は私が固まる番だった。
「探したよ」
『どう、して…』
ずっと会いたくて仕方がなかった人。もう会えないと思って諦めてた人。画面の中でしか会えないでいた人。
私は右目から一筋の涙が零れた。
「最初は気づかなかった。あー俺たちの動画見てくれてるんだなって」
『そこから、見られてたの……』
ははっと笑いながら私の隣に座って言った。同じベンチに座るなんて過去最大に近い距離。自分の鼓動の速さに気づかれないかが不安になる。
「そしたらさ、髪の隙間から顔が見えて。なんか見覚えあるの。あぁ、俺がずっと探してた人だって気づいた」
『っ………』
はい、と彼の手から渡されたのは1年前、私が勝手に託したあの髪飾りだった。
『まだ、持っててくれたの…？』
「当たり前じゃん。ナイスガイは約束を守るからね」
『ふふっ』
嬉しくて声を震わせながら聞くと持ち前の明るさで私を笑わせてくれた。さらに好きになってしまうじゃない。私はあの時からずっと、君の虜なのに。
「……うん、似合ってる」
急に私に近づいてきて、心臓が止まるかと思った。彼の大きな手が私の髪の毛に触れて、優しく髪飾りを付けてくれた。
『髪、もう結べないのに』
「そんなの関係ないよ」
『……ありがとう』
小さくお礼を言うと、眩しい笑顔でどういたしましてと言ってくれた。
「ね、名前教えて？」
『…A』
私は聞かれたから答えたのに、須貝さんは無反応。なんだか胸がざわつく。
怖くてずっと見つめていると、急にバチッと視線が交わった。
「やっとだ──A」
『っ……』
「あの時からずっと、好きだったよ」
『私、も……』
ふわりと彼の匂いに包まれた。あの時も一瞬だけ抱きしめられたことを思い出した。嬉しくて、私も腕を回して強く抱き締めた。
私は貴方という王子様にもう1度見つけてもらえた。これは、シンデレラになれたと言ってもいいんじゃない？
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ちゃるちゃる(プロフ) - わたぐもさん» わわ！ありがとうございます！！ギャップが大好きでして、そう言っていただけてとても嬉しいです！！ (2020年9月10日 17時) (
レス) id: 6736db345f (このIDを非表示/違反報告)
わたぐも(プロフ) - 新作のこうちゃんのお話どストライクすぎました…… (2020年9月10日 2時) (レス) id: 22632e30cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちゃるちゃる | 作成日時：2020年8月3日 16時
