夏は夜 ymmt ページ14
spoonの続き
.
『ちょっと待ってください無理です』
「ええー、頑張ってよー」
私は今、目の前を直視することが出来ないでいる。福良さんに勇気づけられてかれこれ5分ぐらい経つのだが、無理なものは無理です。だって、
『甚平は私の免疫力に対応してません』
「仕事が出来ないじゃんそれじゃあ」
そうなんです。そうなんですよ。目の前には撮影で着た甚平を身にまとっている山本さんとこうちゃんが。似合いすぎていて私の仕事に支障をきたしているなう。
私が彼らを視界に捉えているだけで本人達は私のことに気づいてはいない状況。何やら須貝さんと3人で話している模様。私はずっと格闘しているというのに。存在が罪すぎる。
「なに?甚平好きなの?」
『好きというか萌えます』
「一緒じゃない?それ」
Pコンビこと福良さんと河村さんには私の思いが通じないようで、首を傾げられてしまった。私と体を入れ替わってみれば分かると思います。可愛い顔をした人が甚平着た時のギャップです。鼻血が出ないだけマシ。
「Aちゃん僕の甚平好きなの?」
『うぇ、近づかないでください山本さん…!!』
「あー、敬語に戻ってるー」
『あそうだったごめん』
やっと集中して仕事に取り掛かっていたはずなのに、どこから聞いたのか私の元にやってきた山本さ……くん。こうちゃんはもう私服に着替えてるのに、どうして山本くんだけはまだ甚平着てるんですか。
「どう?似合ってるでしょ?」
『うん似合ってる』
「ホントに思ってる〜?」
めちゃくちゃ思ってます。だから離れてくれませんかね、距離が近いです。チラッと助けを求めるために河村さんの方を見たが、ニヤリと笑って目を逸らされた。山本くんに吹き込んだのも全部河村さんだったのか…誰も助けてくれる人はいないということで私はピンチだ。
『あーもう!めっちゃ似合ってる!カッコイイです!心臓が持たないので離れて!』
.
139人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「短編集」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちゃるちゃる(プロフ) - わたぐもさん» わわ!ありがとうございます!!ギャップが大好きでして、そう言っていただけてとても嬉しいです!! (2020年9月10日 17時) (レス) id: 6736db345f (このIDを非表示/違反報告)
わたぐも(プロフ) - 新作のこうちゃんのお話どストライクすぎました…… (2020年9月10日 2時) (レス) id: 22632e30cb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ちゃるちゃる | 作成日時:2020年8月3日 16時