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ふりふそく izw ページ1

しちせきの続き


『ねぇ、見えない』
「なんのこと?」
『はぁ…』
 
はたして本当にこの男は社長なのか。自分の目線より少し上にあるポスターを見ようとしたらすかさず私の前で背伸びをして妨害してくる伊沢さん。もう一度言おう、本当にこの男は社長なのか。
 
「待ってよAさん!」
 
別にそこまで見たいポスターではなかったので早々に諦めて踵を返す私に駆け足でついてくる伊沢さん。
彼が社長としてまとめている会社に就職してちょうど2ヶ月が経ったところ。以前にも話したが、伊沢さんからの謎のアプローチが毎度一緒に帰宅するということに変わってかれこれ2週間。相も変わらず面倒くさい。
 
 
「Aさんって身長いくつ?」
『157』
「なるほど」
『何』
 
小さいって遠回しに馬鹿にしてるのか?それならせめて山本さんとあまり変わらないねーぐらいオブラートに包んでほしい。なるほどの4文字で済ませられても困る。
 
『なんでニヤニヤしてんの』
「え?いや別に?ちょうど俺と13cm差だな〜って思って」
『はあ』
 
13cm差。そうだね。大して自慢出来る学歴がない私でもそれぐらいの計算は容易に出来るが、13という数字の意味は私には分かっていない。
 
「知りたい?13cm差の意味」
『別にいいです』
「何でよ、そういうこと言わないでさ」
『あー知りたいなー』
「棒読みすぎる!」
 
どうせイエスかはいの2択しかないのは分かっていたので渋々乗ってあげる。伊沢さんとの付き合いがなかなかにあるだけあって扱い方もかなり慣れてきた。
 
ピタッと歩いていた足を止めた伊沢さん。それに合わせて私も立ち止まる。ちょうど、目の前は私たちの分かれ道。
 
 
「カップルのベストな身長差が13cmなんだって」
『へえ』
「え、反応が薄いんだけど」
『うん。また明日ね。お疲れさま』
「あ!ちょっとAさん!!」
 
手を振って私は歩き出す。大体そんなところだろうとは思っていた。全くもって期待はしていなかったのでさっさと帰ろう。
 
「ねえ!Aさん!」
 
人通りが少ないとはいえ、大声で人の名前を呼ぶのはやめてほしいな。仕方が無いのでくるりと振り返って伊沢さんを見る。
 
 
『何がベストか知らないけど、本気なら堂々と来てくれる?』
 
 
じゃ、本当にお疲れさま。と言って私は立ち去った。ここまで言えば伊沢さんの行動も変わるだろう。明日からが楽しみで少し口角が上がった。

別解を見つけた kwmr→



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ちゃるちゃる(プロフ) - わたぐもさん» わわ!ありがとうございます!!ギャップが大好きでして、そう言っていただけてとても嬉しいです!! (2020年9月10日 17時) (レス) id: 6736db345f (このIDを非表示/違反報告)
わたぐも(プロフ) - 新作のこうちゃんのお話どストライクすぎました…… (2020年9月10日 2時) (レス) id: 22632e30cb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちゃるちゃる | 作成日時:2020年8月3日 16時

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