Short Story × Songs 【QK】

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『どうしたらちゃんと見てくれますかね？』

何だかんだ言って、ずっと会話が続いていた。と言っても、一方的に相談してるだけだけど。
それでもちゃんと答えてくれる川上さんが優しくって、甘えてしまっている。

「えー？いやぁ、もっと行動に出すしかないんじゃん？」

『例えば？』

「思い切ってキスするとか」

は！？

『何を言うんですか！！！』

一人でジタバタする私。爆弾発言をした張本人は、キョトンとしている。その顔可愛い！！！


『あのですね？そんなことして嫌われたらどうするんですか！』

「いや嫌われはしないやろ」

『分かんないじゃないですか！いいですか？もし嫌われちゃったら生きていけないんですよ！』

んな大げさな。と笑う川上さん。全然わかってくれない。

『恋する女の子は誰もが臆病者なんです！』

はいはい、と流された。そろそろ作業しないとやばいか。

ヒートアップしてしまった心を落ち着かせて、編集に戻る。


私がもっと強くなれたなら。
こんな風に背伸びしなくったって、素顔でアタック出来るのに。

須貝さんに彼女ができてしまう前に、認めさせなくちゃ…！

とりあえず今は、この動画の編集を終わらせることに集中しよう。


うっすらと動画を撮っている部屋から須貝さんの楽しそうな声が聞こえた。






.




その後、もう一本動画を撮り、今日は解散となった。
帰り道は須貝さんと真逆なので、一緒に帰ることは大体なかったのだけど、今日は用があるみたいで一緒に帰ることとなった。

にしても、気まずい。
こんな時に川上さんに言われた言葉を思い出してしまい、勝手に一人で恥ずかしくなっていたのだ。


「香水1つでこんな変わんのな」

『え？』

「けど、俺はいつもの何もつけてないAがいいけどな」

え。

「そのまんまのお前が、可愛いってこと」

何それ…私はキレイって言われたいのに。結局妹扱いじゃん。

ここで笑って流せれば大人な対応になるんだろうけど。

ふと我に返る。背伸びして振り向いてくれたって、中身が変わってなければいつか色褪せる…？

ありのままを見せられる自信はどこにあんの？どこからかそういう声が聞こえた気がする。


『っ…好きです』

それならば。と思い切ってキスをした。須貝さんの顔は赤く染まっていた。

「ホントにさあ…」

『私は本気ですから！』



振り向かせることができるまで、あと数秒前。

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